第8話
「大丈夫?陸、忘れ物ない?」
「ああ、大丈夫だよ。ちゃんと取ってきたからな。」
真由の家に泊まった翌日、俺達は早く起きて俺の家に行き、荷物を取ってきた。
朝に弱い真由も今日だけは意地でも起きようと、アラームをかけた上に、俺に起こして欲しいとも言っていた。だから、今日は真由と一緒に登校することにした。
「そろそろ学校だねー。」
「そうだな、、、」
そうして歩いていると俺達はあっという間に学校に着き、校門をくぐった。
周囲からの目線を感じる。下校直後はあまり人がいないから気にしないが、今は登校時刻ということもあって、たくさんの人に見られている。あの霧宮さんがなんであんなやつと…とか思われているのだろう。
「じゃあ俺先に行ってるから。」
「あ、陸!」
俺は周囲の目線に耐えきれず逃げ出しそうとしたが、真由に腕を掴まれた。
「いつも逃げられてるから、今日ぐらいは一緒にいてもらうよ!」
「え、い、いや、、、」
「お願い陸。もう少しだけ。」
真由が懇願するように真剣な表情で言ってくるので、俺はその手を振り払うことはできなかった。
◇◆◇
陸と真由が一緒に登校している同時刻、市山大地は、自身の友達と話していた。
「そういえば市山、霧宮さんとはどうなんだ?もう、付き合ってるとか?」
友達がふと聞いてきた。俺が霧宮さんに好意を抱いてるということはもう学校中に知れ渡ってると言っても過言ではない。
「そんな訳ないよ。今は友達になれてるかも怪しいからねー。」
「やっぱ霧宮さんはガードが固いんだな!まあ、あんな容姿してたら当たり前か。」
友達は自分自身で納得したように言った。だが、本当はそうではないだろう。
「違うよ。霧宮さんはガードが固い訳じゃない。」
「え?どういうことだ?」
「霧宮さんには好きな人がいるんだよ。」
「え!誰?」
「倉井陸。」
俺ははっきりとそう言った。
「え?ああ、確かにいつも霧宮さんに話したかけられてるもんな。でも、それだけじゃないのか?」
「違うよ。霧宮さんは間違いなく倉井のことが好きだ。昨日勉強会に誘った時も、倉井が一緒に来るっていう条件で承諾してもらったしな。」
「マジかよ、、、じゃあなんでお前はその倉井に霧宮さんのこと教えてもらってるんだ?」
「……宣戦布告だよ。」
「へえ?随分と強く言ったな。お前も。」
友達は意外そうに言ってきた。俺がそんなに本気で狙ってることはあまりなかったから余計に驚いたのだろう。
「倉井は実際、俺が教えてくれと言ってから、霧宮さんと積極的に関わろうとしてると思う。一昨日ぐらいにゲームセンターで霧宮さんを見た子がいたらしい。そして、その時に倉井も一緒だったみたいだ。」
「なるほど。だとしたら、お前めちゃくちゃ不利じゃないか?だって霧宮さんは倉井のこと好きなんだろ?」
「でも、俺は諦めきれないから。」
そう、この勝負は友達が言う通りに俺がだいぶ不利な勝負だ。だけど、だからといって諦められない。
「ねえ、陸。ちゃんと話聞いてる?」
「ちゃんと聞いてるよ。真由はそれでどうしたいんだよ。」
倉井は霧宮さんと一緒に教室に入ってくる。
いつもはそれぞれ別で登校しているのに、やはり倉井も焦っているのだろう。
(でも霧宮さんも楽しそうだな。)
霧宮さんは倉井と話していて楽しそうだ。いつも霧宮さんは倉井といる時、笑顔なような気がする。
(やっぱり、俺がいるべきでは無いのかもしれないな。)
そうは言っても俺は諦めきれそうに無かった。
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勘違いファミリー、一人追加入りまーす。
市山と陸は互いにいなくなったほうが良い。とか言って仲良いね。とか言いたくなる話です。
そしてまたもや新しく⭐︎をくれた、心優しい人がいました。
@4D_styleさん。
ありがとうございました。
というか、市山の名前って大地だったんだ。忘れてた、、、
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