第5話

ゲーセンで遊んだ翌日、俺らの学校では本格的にテスト期間に入った。


今は7月の後半。つまり、このテストが終わってしまえばもう夏休みなのだ。


俺が登校してきた直後、早速市山が話しかけてきた。


「なあ、今日はなんか作戦あるか?」


市山は焦ったように聞いてきた。


「どうしてそんな焦ってんだ?市山。」


「だってあともう少しで夏休みだぞ!今話しとかなきゃ夏休みに遊びに誘えないだろ!」


「ああ、そういうことか。」


確かに、今ここでどこかに真由を誘わなきゃ市山は夏休み明けまで会えないのか。だが、テスト期間の誘い文句なんて決まっている。


「じゃあ、勉強会に誘えばいいんじゃないか?」


俺はそう言った。


「なるほど。勉強会か。確かにそれなら上手く誘えそうだな。ありがとな!早速誘ってくる!」


市山はすぐに真由の所へ走った。


「ねえ、霧宮さん。良かったら、今日勉強会しない?」


市山がそう聞いた。今日にしてるところから市山は相当焦っていることが分かる。


「ええ…。勉強会か…。」


真由は困ったように市山を見ていた。いきなり言われて戸惑っているのだろう。


真由は何故か俺のことを見始めた。何だろう?今日は何も約束していないはずだが。


「じゃあ、倉井と一緒ならどうだ?」


「あ、それなら良いよ。」


真由は即答した。


「え?」


俺は思わず声が出た。


「分かった。なあ倉井お前は行けるか?」


「ああ、大丈夫だ。」


市山がすかさず聞いてきたので俺は答えた。


「じゃあどこでやろうか。」


「もし良かったうちでやる?」


真由が市山に提案した。 


「いいの!?」


「うん…別に良いよ。じゃあ放課後に市山君も一緒に行こうか。」


「ああ!じゃあ放課後にね!」


そう言って市山は自分の席に行った。


すぐに、真由が俺の所へ来た。


「どうしたんだろう市山君。なんか変だったけど。」 


「さあ、何でだろうな。」


俺はそう誤魔化した。


「まあ、でも陸が来てくれて良かったよ。市山君だけだったら気まずいから。」


「そうか。」


「ねえ、さっき陸と市山君って話してたよね?」


「?。ああ、うん。そうだな。」


「じゃあ…いや、何でもない。」

 

そう言って真由は帰って行った。


(真由は市山の好意に気づいているのだろうか。気づいていたら、市山から誘われて嬉しいのだろうか。…あまり考えたく無いのはなんでなんだろうな。)


俺は複雑な気持ちで真由の顔を見た。心なしか真由は喜んでいるように見えた。


俺はどうしたら良いのだろうか。







◇◆◇


市山君が、私を勉強会に誘ってきた。


いきなり誘われたものだから、私も混乱したが、陸と一緒という条件付きで承諾した。


だが、市山君が私を誘う前に陸と話しているのが気になった。


もしかして…


(陸は私と勉強会をしたかったのだろうか。でも私と2人だったら気まずいから、市山君に誘わせた。とか、そうだったら嬉しいな。)


そう考えると陸が可愛く思えてつい、顔が綻んでしまう。


その時、ふと私の顔を陸が見てきた。


(笑ってる顔、見られたかな。気持ち悪いって思われてたら、どうしよう。)


私は心配しながらも、放課後が楽しみであった。










—————————————————————


どうも作者です。今回ちょっと忙しくて文字数少なめになってしまいました。(言い訳)

主人公が2人がくっつくのを手伝うもどかしいラブコメ。とか言ってるのに、いつのまにか鈍感と鈍感がおりなすラブコメになってました。


…起動修正しないとな。



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