第2話
翌日、俺は学校に来てすぐに市山に話しかけられていた。
「じゃあ早速、霧宮さんのこと、教えてくれよ!」
市山は焦る気持ちを隠さずにそう言っていた。
「あ、ああ。じゃあまず、真由の趣味について話そう。」
「おお!なんなんだ?霧宮さんの趣味は。」
「真由はああ見えて、ゲームが好きなんだ。」
「ゲームか、、、なんてゲームだ?」
「イージスって言う育成ゲームだな。スマホでできるやつ。」
「ああ!あのゲームか!最近人気だよなあ。でも以外だな、霧宮さんもゲームをやるんだな。」
(まあ…俺がハマっているところを見られて、真由に教えたら真由もハマっただけなんだけど、、、それは言わないでおこう。)
「ああ、だから市山もイージスを始めて、それを真由に教えてもらえばいいんじゃないかな?」
「なるほど!分かったその方向でいってみるわ。ありがとな!」
市山はそう言って、俺の席を離れていった。
その後、真由が遅れて登校してきた。
真由は朝に弱いので、いつも来るのが遅い。
だから、登校は一緒にしていないのだ。
早速、市山が真由に話しかけにいった。
市山と真由が楽しそうに話している。
直後、真由が驚いたような表情をして、市山のスマホをのぞいた。
作戦は上手くいったのだろう。
だが、真由が俺に手を振って、
「おーい!陸ー!市山君もイージスやってるってよー!一緒に見よー!」
と、俺に話しかけた。
(市山、すまん。こうなった真由は止められん。)
もう止められなくなったことを悟った俺は市山のところへ行った。
「なんだよ。真由。」
「ほら、見て!一番最初のシーンだよ。これいいよねー。初めからやってもう一回見たいぐらいだったから、市山君がやってくれて良かった!」
「そんないいかー?このシーン。」
「陸は良さを分かってない!市山君はどう思う?」
市山は急に話をふられて戸惑った。
「え?う、うんいいと思うよ。」
「だよね!ほらいったじゃん、陸。このシーンは名シーンです。」
「あっそ。帰るわ。」
「あ、ちょっと陸!」
「ねえ、霧宮さんここはどうすれば良いの?」
「え、ああここはこれをこうやって…」
市山はその後も真由とゲーム談議を続けた。
真由は途中途中驚いたり笑ったりして市山との会話を楽しんでいた。
これが正解だろう。この会話をきっかけに市山と真由は仲良くなり、そのまま付き合うまでいくことがベスト。俺はそれを裏から手伝う。
それで良いじゃないか。
なのになぜこんなにも、
真由が他の男と楽しそうに話していると嫌な気持ちになるんだろうか。
その後、何事もなく学校は終わり、また俺と真由は一緒に帰っていた。
「いやー、今日は楽しかったね!ねえ、この後陸の家に遊びに行って良い?」
「だめだ。」
「ええー。昨日遊んで良いっていったじゃん。」
「それは外に遊びに行くときな。今は金がないから無理だ。」
「家でもいーじゃん。ゲームやろうよー。」
「忙しいんだよ。そういえば、今日市山とイージスについて話していたけどどうだった?」
「どうだった?まあ楽しかったよ。それに、市山君とお話しできたからね。良かったよ。」
「そう、良かったんだ。」
俺は震える声色をなんとか抑えるようにした。
「うん?どうしたの?陸。」
「いや、なんでもないよ。あ、ちょうど家に着いたから。」
「え、うん。バイバイ陸。」
そういうと、陸は素早く自宅のドアを閉めてしまった。
「…陸に新しい友達ができるかもしれないから良かった。って言いたかったのに、、、」
家に帰った後、俺は一目散に自分の部屋のベッドに飛び込んだ。
そのまま頭を枕に沈める。
(真由は市山くんとお話しできたから良かったと言った。それじゃあまるで、、、)
「今までずっと俺が邪魔だったってことか、、、?」
自分の心が更に黒く暗くなっていくのを感じた。
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