第6話:ウルチョラウーマン・デリージョ。

「なに、言ってるんですか?・・・分かんないんですけど」

「それよりモナカは救えるんですか?」


「救えます・・・私がその子に乗り移ります」

「早く決断しないと、その子は助かりませんよ」


「わ、分かりました・・・モナカが救えるなら・・・いいようにしてください」


「いいですか、その変わり私がその子に憑依した時点で私はウルチョラウーマン

・デリージョとなって、倒されたウルチョラマンの変わりに怪獣と戦うことに

なります」

「いいですね」


「え?モナカは、そんなものなるんですか?」


「そうです、それが唯一でベストな選択です」

「それにその子がサイボーグだってことも幸いです」

「普通の人間では私が憑依するときの衝撃に耐えられないかもしれませんから」


「まだ選ぶ権利はあります、ですがどちらにしても私は誰かに憑依しなければ

なりません」

「どうしますか?・・・その子を見捨てますか?」

「いやいやいや・・・モナカを見捨てるなんてできないですよ」


「それでは決まりですな」


そう言うと光はモナカのところまでやってきて彼女の体に吸い込まれるように

入っていった。


そしたらいきなりだった。

モナカの体が一緒光ったかと思ったら、僕の前から消えた。

え?モナカはどこへ行った?


僕が見上げたそこに、シルバーの体にピンクの模様が入ったコスチュームに

身をまとったウルチョラマンが立っていた。

いや、違う・・・ウルチョラマンじゃない。

それはさっき光が言っていた「ウルチョラウーマン・デリージョ」


めっちゃかっこいいし・・・。

デリージョはすぐに僕を見つけると言った。


「大ちゃん・・・そこからすぐ避難して、怪獣がまた戻ってくるから」


「モナカ・・・」


「大ちゃん・・・私パワーが漲ってるよ」


モナカはウルチョラウーマン・デリージョになって蘇った。


なんだかモナカの思惑通りになった気がする。

僕はすぐさまモールの外からモナカが見えるところまで急いで避難した。


すると向こうの空から、さっきウルチョラマンと戦っていた怪獣が戻ってきた。

身体中にトゲトゲがある派手で醜いやつ。

地上に降りると、さっそくデリージョを威嚇した。


デリージョはすぐに反撃に出た。

パンチにキック、飛び蹴り・・・だけどデリージョの攻撃は怪獣にはあまり

効いてないみたいだ。

反対にデリージョは怪獣のパンチを食らって吹っ飛んだ。


「きゃ〜・・・いたい〜ん」

「あなた、もっと女性に優しくしなさいよ、アホ〜ボケ〜カス〜ヘタレ〜死ね」


デリージョになってもあの捨てゼリフは健在か。


「こうなったら必殺攻撃で宇宙まで飛ばしてあげますわ」

「早く、決着つけないと三分しか持たないからね」


そう言うとデリージョは、奇妙なポーズを取ると差し上げた手からキラキラした

光のカケラを怪獣に振りかけるように放った。

そのキラキラを体に被った怪獣は動きを止めた・・・と思ったら、すかさず

デリージョは再度両手からビームを怪獣に放った。


ビームを浴びた怪獣はそのまま、見えなくなるまですっ飛んで行った。


「もう戻ってこなくていいからね〜」


え〜モナカ、そんなことできるんだ?

まあ、ウルチョラマンも同じようなビーム発射してたけどな。


いくら悪い怪獣でもデリージョはむやみに殺生はしないんだ。


勝ち誇ったデリージョは自慢げに夕日に向かって立っていた。

デリージョだけどモナカなんだけどな。

そして彼女は少しづつ消えていった。

まあ、そのへん破壊しまくってることはこのさい多めに見よう。


しばらくしてモナカがどこからともなく僕のところに戻ってきた。


「モナカ、大丈夫か?・・・怪我は?」

「大丈夫だよ、大ちゃん」


「よかった・・・心配したんだぞ」


「ごめんね」


「でもさ、デリージョになったモナカ、かっこよかったぞ」

「ありがとう」

「不可抗力だったけど、おまえのウルチョラマンみたいになりたいって

願いが叶ったな」


それにしてもこんなことになるなんて誰が想像できた?

モナカがウルチョラウーマン・デリージョだぞ。


「大ちゃんの彼女はウルチョラウーマン・デリージョだよ」

「彼女だって?」

「ヒロインなら、それなら彼女って言っていいよね、認めてくれる?」


「そうだな・・・でもな〜デカくてお転婆な女は、ちょっとな〜」


「アホ〜ボケ〜カス〜ヘタレ〜死ね〜」


「それも僕に向かって言うのは、そろそろやめろ」


「これってただの罵声じゃないんだよ大ちゃん・・・大ちゃんには特別な愛情を

込めてるんだからね」


「なるほどね、裏を返せばそれも愛情表現のひとつか」


「まあ、開き直れば怖くない、ってことで僕は彼女の願いを受け入れてモナカは

僕の彼女になった」

「血縁でもなんでもないからね・・・なんの問題もない」


それからもモナカはウルチョラウーマン・デリージョになって人々のために

怪獣と戦い街を破壊しながら活躍した。

まさか亡くなった妹がサイボーグになって果てはウルチョラウーマン・デリージョ

になるなんて・・・意外な展開。


もっとドロドロの恋愛話になるのかと思ったらそう言う結末。


そうそう肝心なことを報告するの忘れてた・・・モナカとはちゃんとエッチ

できてるからご心配なく・・・。

え?モナカは未成年だろって?サイボーグには未成年なんて概念なんかないんだ。

それとやっぱり親父は天才だよ。


おしまい。


  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る