第4話:あの大きい人、誰?。
「モナカ、もうすぐバスって大きな乗り物が来るからな・・・動くなよ・・・
じっとしてろよ、危ないからな・・・たぶんバスが」
「ばす?ってなに?」
「・・・・・はじまった・・・」
まあいいか・・・サイボーグとは言え可愛い妹だし・・・。
「バスはバス・・・来れば分かるから・・・」
「それに乗って今から僕とモナカは学校ってところに行くからな」
「がっこう?・・・ってなに?」
「・・・・行けば分かる・・・」
モナカがいろいろ覚えるまで毎回このパターンか・・・手間がかからなくなる
まで気の遠い話だな・・・保育園の先生の気持ち分かるわ。
バスに乗って電車を乗り継いで・・・もちろん僕はモナカをじっとさせること
に全集中。
学校について教室に入ると、思ったとおりクラスの野郎どもが僕の後ろにいる
モナカを見つけるなり、疑問系の言葉を僕に投げかけてきた。
「なんだ、なんだ、和菓子田・・・え?・・・モナカちゃん?」
無視する。
「誰この子?」
無視する。
「モナカちゃん亡くなったはずじゃ?」
無視する。
「大福・・・どうなってんだよ?」
無視す・・・。
「あのな。モナカは生きてたんだ・・・仮死状態だっただけだよ」
「以上、質問や疑問は一切受け付けないからな」
で、モナカも対応・・・「アホ〜ボケ〜カス〜おまえらみんな死ね〜」
うん、こいつらには思う存分言っていいぞ。
とりあえず、みんなの素朴な質問、疑問には答えないで徹底的にやり
過ごすことにした、
サイボーグだなんて言える訳がないだろ。
ほんとなら、妹なんか連れてきちゃダメなんだけどな。
で、僕は食堂から余った簡易のパイプ椅子を持ってきて僕の席の後ろに
モナカを座らせた。
「そこでじっとしてな」
「授業が始まるから、そしたらうろうろ動くなよ」
「分かった・・・ボケ」
「俺にまでボケって言うな・・・兄ちゃんか大ちゃんどっちかって言っただろ?」
「んじゃ、大ちゃんで」
でもって授業がはじまった。
モナカの動向が気になって後ろを振り向くと・・・うん、ま、おとなしく座って
るみたいだな・・・って思ってたら・・・
そしたらば・・・モナカが僕の服を引っ張ってなにか言ってる。
「なんだよ・・・服を引っ張らない」
「大ちゃん・・・あれ」
「あの大きい人、誰?」
「モナカがそう言って教室の窓の外を指さした」
「え?・・・なに??どれ?」
「あれなに?」
「あ〜あれか・・・」
「え?もしかして、あれも記憶から飛んでるのか?」
「みたい・・・」
「しょうがないな〜・・・あれはウルチョラマンだよ」
「ウルチョラマンって言って地球のために宇宙から来た怪獣と戦ってんだ」
「うるちょら?まん?・・・かっこいいいね」
「そうか?・・・まああんなの日常茶飯事だよ・・・」
「三分、手前くらいで必ず怪獣倒して帰っちゃうんだ」
「町中を散々荒らしまくって破壊しまくってさ・・・ごめんも言わずに勝ち誇った
ように自分の星に帰っていくんだ」
「ったく迷惑な話だよな」
「モナカもあんなに強くなれるかな?」
「ならなくていいよ・・・おとなしくしてること、女の子なんだから」
「あんなデカい女になったら、目立ってしょうがないだろ?」
「それにデカくなったおまえに着せる服がないわ・・・」
「裸でなんか戦ったら、わいせつ物陳列罪ってので、おまわりに捕まっちゃうよ」
「って、言うかモナカが裸で戦ってるとこ想像しちゃったじゃないかよ・・・」
「こら、目をキラキラさせるな・・・ウルチョラマンなんかに憧れない」
「モナカが暴力女になることが兄ちゃんは一番心配なんだ」
「その上にグレでもしてみろ・・・行末は族かヤンキーがオチだぞ?」
「僕にはさ、兄として、おまえをまっとうな女に育てる義務と責任があるんだ」
「お〜い・・・和菓子田・・・なにごちゃごちゃやってんだ」
「わ、やべ?」
「真面目に授業受けろよ」
「ん?・・・おまえの後ろにいるの誰だ?」
「妹です」
「妹だと?・・・なんでここにいるんだ?・・・授業は?」
「はい・・・あの体調がすぐれないようで・・・放っておけなくて」
「ああ・・・そうか・・・」
「まあ、そう言うことなら今日だけ、ここにいさせていいから」
「アホ〜、ボケ〜、カス〜、マヌケ〜、ヘタレ〜、死ね〜」
「コラッ黙ってろって!・・・しかもヘタレが増えて学習してんじゃないかよ」
「すいません、実はこの子、ご覧の通り頭も調子悪くて・・・」
「んん〜・・・じゃ〜しょうがない・・・授業が終わるまでおとなしく
させておくこと、いいな?」
「はい、すいません」
危ない、危ない・・・今日は凌げた・・・明日と明後日は学校休みだからいいけど
月曜日どうしよう?
なにも考えてない奴はいいよな。
その時のモナカはどうやったらウルチョラマンになれるか真剣に考えていた。
とぅ〜び〜こんて乳。
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