第3話:こうなったらまじ、人間と同じだな。

「お兄ちゃん・・・腹減った・・・」


「え〜サイボーグなのに?・・・内蔵ないのに食えないだろ飯なんて」


「お腹すいた」


「ちゃんと空腹感あるんだ?」


で、親父に確かめてみたらモナカは内臓まで作ってるから完璧に飯は食える

んだそうだ」


で、モナカと朝ごはんを食べた訳で・・・ちゃんと消化してるのか心配。

これはデリカシーの問題だけど、あとでモナカに聞いてみたら、おしっこも

ウンチもちゃんと出るんだそうだ。

こうなったらまじ、人間と同じだな。


そんなモナカを作った親父は、そんな天才的な発明家だっけ?


僕は朝飯を食ったあと、モナカをリビングのソファに座らせてテレビをつけて

やった。

めざましなんとかって朝の番組をやっていた。

それでも少しはモナカの知識の吸収にはなるだろう。


テレビを見ながら、なにが可笑しいのかケタケタ笑ってるよ。


だけど考えたら僕は学校へ行かなきゃいけないんだ・・・親父もモナカを

僕に任せたまま会社へ行っちゃったし・・僕と親父がいない間、モナカをどうする。

ひとり留守番なんかさせたら、なにしでかすか分かったもんじゃないしな。


モナカが生きてた時は、学校へ行ってたからなんの問題もなかったし、

知り合いや友達はモナカが亡くなったこと知ってるからな。

いまさらサイボーグのモナカを見たら、どう思うだろう?

モナカが生まれ変わったことを誰もしなないんだよな。


しかたない・・・家の放ったまま俺だけ学校へ行くわけいかないか。

今日はモナカを連れて学校へ行く。

クラスのやつら反応は全部無視する・・・・それで行こう。

今日はって言うか・・・これから毎日ってことになるのか?


僕の通ってる学校は、グンカン町にある「ハシビラ高等学校」

僕の家からバスに乗って電車に乗って約1時間ほどかけて通ってる。


朝ご飯を食べてから、昨夜慌てて激安ショップで買っておいた服をモナカに

着せて一緒に家を出た。


そう言えばモナカは生まれてはじめて自分の足で外を歩くんだ。

はじめて外を歩いたモナカは楽しそうにしていた。

そりゃ見るもの聞くもの新鮮なものばかりだからな。


「こらこら・・・キョロキョロしない」

「なんでも興味示して立ち止まらない・・・そんなのんびりしてたら学校

遅れるだろ?」


そうだ、バス停に着く前に商店街の中を通らなきゃいけないんだ。

モナカの手を引いて店の前を通り過ぎようとしたら、すでに開店してる八百屋

の親父から案の定声をかけられた。


「おはよう大ちゃん・・・・」


「おはようございます」


「あれっ・・・おやっ?・・・その子は?・・・どこの子?」


「あ、どうも・・・僕の妹のモナカです」


「いもうと?・・・え?外郎ういろうさんいつの間に奥さんもらったの?」


「はあ・・・いつ間にかです」

「コラッ、モナカ・・・そこらの果物触らない・・・触りまくって腐ったら

売り物にならなくなるだろ」


「外郎さんも隅におけないね〜」


「アホ、ボケ、カス、死ね」


「こらっ・・・人にそんなこと言っちゃダメだろ」


「クチの悪い娘だな」


「冗談ですよ・・・冗談・・・そう言うことを言うのが楽しい時期なんです」

「とにかく・・・これから買い物にも来ますからよろしくお願いします」


商店街を通り過ぎるまでに何軒か同じように声をかけられた。

適当にやりすごしモナカの手を引っ張ってようやくバス停に到着。

バスの到着時間になんとか間に合った。


「モナカ、もうすぐバスって大きな乗り物が来るからな・・・動くなよ・・・

じっとしてろよ、危ないからな・・・たぶんバスが」


「ばす?ってなに?」


「・・・・・はじまった・・・」


まあいいか・・・サイボーグとは言え可愛い妹だし・・・。


とぅ〜び〜こんて乳。


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