第2話:先が思いやられるかもしれない。
まじで本物のモナカが生き返ったみたいだ・・・サイボーグだなんてとても
思えない。
サイボーグとは言え脳はモナカのなんだから、モナカなんだろう?
だけど記憶の一部が欠落してるって言ったから、僕のことを覚えてるかどうか
不安だったからモナカに聞いてみた。
そしたら・・・。
「アホ〜、ボケ〜、カス〜、死ね〜」って言われた。
僕のこと覚えてないじゃないかよ。
「あのな・・・僕たち兄妹だんだぞ?、分かるか?」
「分かんない」
「とにかく僕らは家族なの・・・か・ぞ・く・・・」
「数学や国語の勉強と違って形にならないそういうのは分かんないよな」
「まあいいわ・・・ゆっくり行こう」
モナカが生きてた頃はちゃんとひなまつりだってやってたし・・・
ちょっと時期がずれてるけど、桃の節句やるか・・・。
小ぶりだけど、毎年飾ってるお雛様をモナカのために出してやった。
「わ〜お雛様・・・」
「え?これは覚えてるのか?」
「うん、覚えてるよ」
「なのになんで僕のことは覚えてないんだよ」
「アホ〜、ボケ〜・・・」
「もういい、もういい」
ひなまつりのことなんか覚えてなくていいから僕のことは忘れないでほしいな。
たぶん生前どおり、ひとりで寝ることはできるだろうと生まれたその日
から部屋でひとりで寝かせた。
そしたら、いつの間にか僕の部屋にやってきて僕の布団にごそごそ潜り込んできた。
なんだ?・・・ひとりじゃ嫌なのか?・・・生きてた頃よりヘタレじゃん。
「ひとりはヤダ」
「まあ、いいけど・・・他人の女性なら問題だけど、妹だからな」
おまけに夜中に僕のほうにゴロゴロ寝返りをうって攻めてくるし・・・。
「たく・・・大人しくじっとして寝ろよ」
「むにゃむにゃ・・・」
「攻めてくるな・・・こらこら上に乗ってくるなって・・・重いよ」
「わざとやってんのか?」
ベッドに縛り付けるわけにもいかないし・・・。
まあ、ロープなんかで縛ったってサイボーグだからすぐぶち切ってしまう
だろうしな。
しかもユンボ並みにパワーがあるだろうから下手に手を出して逆にモナカに
頭でもポコンってドツかれでもしたら脳みそが陥没しちゃうかもしれないだろ?
暴力はダメだってこともちゃん言い聞かせとかないと見境がつかなくなったら
大変だもんな。
破壊することに快感を覚えて趣味にでもなったら大事だ。
正しい行いと悪い行いの区別をつけさせなきゃ・・・。
ってこれってコメディーなのに僕はなにをそんなにシリアスな話にしようと
してんだ?
あとモナカは朝、5時きっかりに目を覚ます。
で、人の頭をポカポカ叩いて起こす・・・僕はまだ寝ていたいのにさ。
「やめろよ・・・兄貴の頭をポカポカ叩くな」
モナカは人の頭をポカポカ叩きながら笑う。
体内時計を持ってるみたいに規則正しいのは、そこの部分の脳みそがちゃん
と働いてるんだろう。
そこらはアバウトな人間の感覚とは違うみたいだね。
「おはようモナカ」
「アホ、ボケ、カス、死ね」
「さっそくか・・・・ったく教えてもないのにどこで覚えたんだよ、それ」
「おはようだろ・・・おはよう」
「おはよう、父ちゃん」
「父ちゃんじゃなくて、大福・・・大ちゃん・・・僕は大ちゃん」
「それを言うなら、お兄ちゃんだよ、大ちゃんか兄ちゃんのどっちか」
「おはよう・・・お兄ちゃん大ちゃん」
「お兄ちゃんでいいよ」
「え〜と・・・じゃ〜モナカ、朝ご飯作れるか?」
「作れない・・・」
「ええ〜生きてた時はちゃんと作ってたぞ」
「そこも記憶から飛んでるのか?」
「できるくせに自分に都合の悪いところだけ無理に忘れてんじゃないのか?」
「アホ、ボケ」
「悪かったよ・・・疑って」
「おまえを作った親父はなんにもしないよな・・・たまには朝飯くらい作れ
ってんだ」
「お兄ちゃん・・・腹減った・・・」
「え〜サイボーグなのに?・・・内蔵ないのに食えないだろ飯なんて」
とぅ〜び〜こんて乳。
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