第8話 愛されてる腫物

とあるシリーズが20周年という奇跡…皆さん、こんな駄作よりもとあるシリーズを読みましょう。


あと、ゆ. ₂₅さん。誤字報告誠にありがとうございます!


では、どうぞ!



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に気づき始めたのは一体誰だったのだろうか?


視界にあるソレに気づいた人々はダンジョンに向けていた携帯電話がソレに向き始める。


中には震えてしまって何も出来ない人もいれば、無意識に何処かに通話しようとしている人もいた。


目の前にあるダンジョンという異物がある中に、決して交わらない異物が混入しているのだ。

フランスのコース料理にざる蕎麦や麻婆豆腐が混入しているくらいの。


勿論、ソレに気づいたのはそこに居た野次馬だけじゃない。

ダンジョンに入らない様に警備をしていた彼らも。


「こ、これか…?!このダンジョンがあるから現れたのか…!?」

「お、おい!今ちょっと立て込んでるんだよ…!なんで現れたのかわかんねぇけど今は…」


一見、それは霧を纏っていてその奥深くに薄っすらとフードを被った何かにしか見えないが、彼らはわかっていた。


野次馬の中にいたテレビ局の女子アナウンサーはその仕事を果たそうとしてこちらにマイクを向けようとするが、すぐさま他の野次馬に取り押さえられて身動きが出来ないようになる。


「あの…!すみません、少しお話を…!って、ちょっ!」


「おい!嬢ちゃん、アレには絶対に関わんな!」

「俺らも巻き込まれたくないんだ…!!」

「く、クワバラ…クワバラ…!」


だが、そんな騒ぎが起こってもソレは反応しない。

ただ、一歩ずつダンジョンの入り口に向かって歩いていく。


いつの間にか、ダンジョンに入らない様に警備していた彼らも退いていた。

彼らだって仕事でこんな厄ネタに関わるだなんて思ってもみなかった。

こんな糞みたいな安月給で命を賭けるほど、人間は出来ていないのだから。


そして、それは何も言葉を口にしないままダンジョンの深淵に入って行ったのだった。



取り押さえられてたアナウンサーは退いた野次馬に服の汚れた部分を払いながら問い詰め始めた。


「な、なんで邪魔したんですか!?アレって、アレですよね?例の無貌様って奴ですよね?ね!?」


だが、取り押さえていた野次馬達も負けずに言い返し始める。


「ふ、ふざけるなよ!取材でもしてみろ!ここら一体が吹き飛ばされるかも知れないんだぞ?!」

「お、俺が勤めていた工場はアイツのせいで一晩でクレーターになってしまったんだよ!…まぁ、なんだ?ウチの工場色々とヤバめの物作ってたみたいで結果オーライって感じだけどさ…」

「とりあえず、ここら付近の町含めた生き神様として祭り上げられてるのがあの『無貌様』なんだよ。」


怒ってるのか恐れているのかよくわからない彼らに対して、アナウンサーの本二日市 喜笑は聞いてみる事にした。


「えっと、じゃあ皆さんはアレが人間じゃないんだと…?」


『無貌様』と思わしき人物が起こした事件の跡を本二日市は幾つもの取材で見た事がある。


一言で言うなら、戦車と戦闘機が合わさって擬人化したかのような。そんな存在に本二日市は思ていた。


けど、そんな存在は大阪市によく集まっていた。

そして、その大阪から偶々来ていた本二日市からしてアレはまだ人間の範疇にいる自分ルールを持った化け物の類いであると本二日市は見抜いていた。


「…人間かどうか分からないけど…アレが出て来てからこの街で今まで見えてなかったり、見ないふりをして来た問題が可視化されるようになった…と思う。」


そんな化け物は、ある意味みんなから愛されていた。

不良が猫に傘を差し出した、とは訳が違った。


「…俺らの中には様々な問題を抱えた奴がいた。アレにはその問題を解決して貰った奴もこの街には多数いる。」


だからこそ、と彼は話を続ける。


「俺たちはアイツの重枷になっちゃならねぇ。俺もアイツには恩があるんだ。せめてその借りを返すぐれぇはしねぇと、バチがあたんだろ?…それに関わってもロクな事ねぇし、なんか怖い…」


野次馬達のほとんどがそれに首を上下させたのだった。


「いやいや!結局触らぬ神に祟りなしと同じ扱いじゃないですか!」

「だってほら、怖いんだもん〜」

「強面のアンタがそれ言うとなんかエモいわ。」


なお、ただいま朝の生放送中である。



























『コソコソオカルト話』

主人公が住んでいる所は大阪府内である。

ちなみに、東京のほうは主人公の類いの化け物や常識外な奴らはあまりいない。

が、東京の治安は一日に朝昼晩と3食3回殺人事件が起こる程の悪さである。





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