第5話 初心者向けダンジョン
酩酊感に苛まれ、目を開けるとそこは薄暗くまさに、ダンジョンと言える場所であった。
光の玉が一定間隔に浮いており、その光が洞窟内を薄暗く照らしていた。
後ろを向くと重圧な金属の扉が外に出られない様に細工されている。
「ここがアイツが言っていた…で、これが僕の武器か。」
足下を見ると…何やら古びた本が落ちていた。
(…え、これで殴れって事…?マジ?)
一応影に入れてある武器はいくつかある。けど、もし僕みたいに武器を持ち込めなかった人達は…
本を拾って中身を見てみるが僕には全く読めなかった。
文字は…見た事がないが…何やら植物が描かれている。
(どっかで見た様な…)
気の所為だろうか?
つけてきた腕時計を確認すると、地球の時間はさっきの時間から15時間ほど加算されていた。
両親にはなんとか誤魔化せる…と思う…多分。メイビー。
だが、これで分かった事もある。それはこの場所はアイツが言ってた異世界ではなく、他惑星だという事だ。…酸素とか重力の物理法則大丈夫かなぁ…?
まぁ、そう言っても仕方ない。とりあえずこのダンジョンの攻略と行こう。
本を影の中に収納して、代わりにクエストで回収した日本刀とデザートイーグルを取り出す。
刀の技能値は90。サイコロを振らなくても今までの戦闘経験と技能値による経験値で補うつもりだ。
「さて、それじゃあ行こうかな。」
僕は足を先のわからない洞窟へと向けた。
「『フォーグ』…」
魔術でとても濃い霧を魔力操作によって身体に纏わしていく。
この霧は他者からは視界を遮っているが、自分からは通常通り見えるという優れ物だ。
よくこれに『無貌のニスデール』とランタンを身に付けて『無貌様』という都市伝説と化した事を思い出すと何処か可笑しくて笑ってしまった。
おや…あれは…
「……bねngyaaa…」
そこには、暗闇に紛れた1匹の緑色の小汚いゴブリンがそこにいた。
(こんなアニメや漫画に出て来るようなゴブリンがいるとは…今度北欧辺りの妖精にでも聞こうかな…?)
持っている武器は棍棒。ほんと、ありきたり過ぎないか?
「まぁ、斬るね!」
奇襲をする程じゃない。
相手は霧のせいで間合いが全くわからないので無抵抗なゴブリンに左肩から右下にかけて一直線。
僕は、ゴブリンが傷口を抑えようとする前に下から切り上げて首を切落とした。
死体となったゴブリンの身体は崩れ落ちると共に、砂の人形の様に一つのカケラを残して消えていった。
無常は今の現象を口に手を充てて考え始めた。
(今のは…魔力が素粒子状にバラけたのか…そして魔力の行き先はこのカケラと地面に…)
カケラを拾い上げて光の玉にかざしてみる。
無色透明なこの石には数値化すれば1MPが結晶化した様なモノに見えるんだが…
(宝石に魔力が宿るのは聞いた事があるが…魔力そのものが結晶化するとかって見た事がないぞ…?)
その時だった。僕の頭の中でファンファーレが鳴ったのは。
パンパカパーンッ!!
周りに対して警戒度を最大限高めるが、目の前に現れた画面が自分の考えを改めさせられた。
『固有能力を取得しました。』
『コソコソオカルト話』
無常が今までの頑張りで得た呪文や魔術は以下のモノである。
フォーグ 濃い霧を作り出す。自分は普通の視界に見える。
フライト 5秒だけ空を飛ぶ事が出来る。
クパスト 対象の過去を暴く。魔力の消費がとても高い
デート 重さが一キロ以下で魔力の無い対象の支配。
だが、魔力操作の面においては拘束され続けているロキやナイアルラトホテップを唸らせる程である。
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