第11話 解放
結論から言うと、とても簡単だった。
私はことが終わると、文の家をすぐに去った。
そして、私は彼と彼女の中を引き裂く映像を手にした。
もしも、イジメを彼女が再開したら、これを見せつける。
私は、素晴らしい計画にほくそ笑んだ。
帰った時、母にはいつものように躾をされたが、とても晴れたような気持ちだった。なんなら、これまでで一番痛くなかったとすら感じた。
◇◆◇◆◇◆◇
朝、父親の怒鳴り声が聞こえた。
「楓乃!」
「……なに?」
寝起きで頭が回ってないなか、私は返事をする。いつもになく、よく眠れたと思っていたのに、と父を見つめる。
けれど、父は怒った表情をしていた。
「お前、昨日、下級生を犯したんだって? え? 今なら、あいつの言葉にも同意できる。このアバズレが! え? お前は、いつもそうだ。俺の邪魔をして、俺を苛々させる。お前は俺のものだろうが! なんで他のやつに股を開いた? え? お前は俺の所有物だろ!」
父の拳が、私の頬を殴った。
カッとした。自分が自分じゃないみたいに、思った。
枕元に置いてあった目覚まし時計をつかむ。そのまま、勢いで、父の頭を殴打した。
ガッ
と、音が鳴り、父親が倒れる。
私は、怒りのまま、掴んでいる時計で、父を殴る。
殴る
殴る
殴る
殴る
殴る
殴る
殴る
殴る 殴る 殴る 殴る 殴る 殴る 殴る殴る 殴る 殴る 殴る 殴る 殴る 殴る殴る殴る殴る殴る殴る殴る殴る殴る殴る殴る殴る殴る殴る殴る殴る殴る殴る殴る殴る殴る殴る殴る殴る殴る殴る殴る殴る殴る殴る殴る殴る殴る殴って……気づけば、父は血を流して倒れていた。
まだ、母が家にいる。
私は、壊れた時計を置いて、寝室へと向かった。
母は、スヤスヤと寝ていた。7時を過ぎたと言うのに、あぁ、そうか今日は土曜だったのか。
遅れて気づくも、もうどうでもよかった。
枕元に、目覚ましの設定がオフになっている目覚まし時計があった。
父も、これで殺せたのだから、とそれを手に取り、両手で振りかぶる。
簡単だった。
グシャッ、と音がして、母親が悲鳴を上げた。
叫び声が、癪に触る。
もう一回。
死ぬまで、何回すればいいかなんてわからなかったし、いつ死んだかもわからなかった。
ただ、これがよく聞く『普通の犯罪者は人を殺しすぎる』というやつかな、なんて思った。
私は、シャワーで、血を洗い流して、外着に着替える。
家を出た時間はわからない。
だけど、もう太陽がサンサンと照っていたのはわかった。
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