俺の私生活(プライベート)は彼女に見られている

冬雪樹

俺の私生活は彼女に見られている

 突然だが、俺の私生活は彼女に監視されている。

 部屋の至る所に隠しカメラがあり、盗聴器があり、外に持ち歩くスマホや鍵、財布にはGPSが仕掛けられている。


 一言で言えば――普通じゃない生活だ。


 なぜ、俺がこんな生活を受けていれ、過ごしているのか………まあ、簡単に言えば彼女が好きで、彼女も俺のことが大好きだからだ。


 俺の私生活は、彼女のスマホやパソコンから見ることができる。前に一度見せてもらったことがあるのだが、カメラに死角が存在しなかった。

 1カメで見えなきゃ、2カメで。1カメでも2カメでも見えなきゃ、3カメで。といった風に、スマホ、パソコンを通したこの部屋に死角は存在しない。


 極端に言えば、タンスの中や冷蔵庫の中までカメラはないなので、死角になるが、そんな所に入れるわけもないので、部屋のどこにいても姿を見られる。

 

 部屋に仕掛けられたカメラの数は正確に覚えていないが、覚えている場所は、天井全ての角、ベッドに置いてある彼女から貰ったぬいぐるみの目、キッチン、玄関、トイレ、風呂などなどだ。


 トイレや風呂まで!? と思った人もいるだろう。そうだ。死角がないということは、人の一番のプライベート空間とも言える風呂とトイレまで見られているということだ。


 百歩譲って風呂はまだしも、トイレ姿まで見て何が面白いのだと思う。

 普通の人なら、人のトイレ姿なんて見たくないだろう。

 まあ、そもそも普通の人なら彼氏の部屋に大量のカメラを仕掛けねえだろって話だけど。


 カメラを通して彼女は、俺の記録を付けているらしい。

 何時に寝て何時に起きたか。朝、昼、晩に何を食べたか。何回トイレに行ったか。その日は何をして過ごしたか。何回オナニーしたか。などなど……。


 カメラの役割はそんな感じだ。盗聴器も似たようなものだ。


 GPSについては、俺が何時何処にいるか分かるようにだ。

 というのも、出掛け先に必ず彼女がいる。という、ついてきている。


 彼女は俺の全てを知らないと気が済まないらしい。 そんな彼女のため、歴代彼氏に振られている。

 だが、俺はそんな彼女が好きなのだ。


 ♡


 俺は彼女に私生活プライベートをあげた。逆に彼女は俺に何をくれるのか……それは、全てだ。

 俺が言えば、彼女は何でもしてくれる。

 何かを買ってこいと言えば買ってきて、例え深夜だろうと来いと言えば来る。

 さらに、恋人同士と言うことは、エロいそういうこともする。

 彼女は、突然胸を揉もうが、スカートを捲ろうが怒りはしない。

 シたいと言えばヤらせてくれ、あれをヤッてほしい、これをヤッてほしいと言えばヤッてくれる。

 写真や動画だって撮らしてくれる。


 どちらかと言えば、前者よりも後者方が俺は多い。だって、男の子だもん。


 ♡ ♡


 私には大好きで大好きで、愛して愛して、四六時中何をしていても考えてしまう、どれだけ好きを大好きを愛を伝えても伝えたりないぐらい愛して堪らない彼氏がいる。


 好きだから今何をしているか知りたい。大好きだから常に一緒にいたい。愛しているから何でも知りたい。

 いつでも彼の姿を見ていたい。いつでも彼の声を聞いていたい。

 できればずっと近くに、隣にいたい。だけど、それが難しいことぐらい私にだって分かっている。

 なら、どうすればいい? そう、そういう環境を作ればいい。


 彼をいつでも見れるように彼の部屋にカメラを置き、いつでも声を聞けるように盗聴器を置き、いつでも居場所が分かるように位置情報を共有すればいい。


 これには、彼の協力が必要不可欠だ。勿論、一人でやろうと思えばできなくもない。彼の部屋の鍵は持っているのだから、いつでも行き来できる。

 だけど、いつの間にか部屋に覚えのないカメラや盗聴器があれが、きっと怖がるし、最悪警察沙汰になる可能性がある。というか、前に数回そういうことがあった。


 だから、彼に私の彼を思う深い愛を理解してもらい、協力してもらうしかない。

 何回も警察沙汰になれば、そのうち牢屋に入れられるかも知れないとおもった私は、元彼に協力を仰いだこともあったが、無理だと言われそのまま別れられた。

 正直、怖い。彼に嫌われるのが。会えなくなるのが。一緒にいられなくなるのが。彼を感じられなくなるのが。


 それは、杞憂に終わった。彼はすんなりと受け入れてくれた。私の愛を理解わかってくれた。


 凄く嬉しかった。こんなのは初めてだ。彼が初めてだ。ちゃんと、私の目を見て、私の愛を受け止めてくれた人は。

 あぁ〜、やっぱり、私は彼が大好きで、彼も私のことが大好きなのだと再確認できた。


 彼の同意のもと、部屋にカメラ、盗聴器を置かせてもらった。無理かと思われた、お風呂やトイレにも置かせてくれた。

 ん? お風呂姿やトイレ姿なんて見てどうするんだって?

 そんなの決まっている。彼は最初どこから洗うのか、どうやって洗うのか、何分湯船に浸かるのか。

 トイレは、彼の健康状態が分かる。今日はよくトイレに行くなとか、お腹の調子が悪いのかなとか、昨日いっぱい食べていたから今日は苦しそうだなとか。


 わかることなんていくらでもあるし、そもそもの話、お風呂姿だろうとトイレ姿だろうと、愛していたらその人のどんな姿でも見たいと思うのは当たり前。


 無論、もし彼が私のお風呂姿やトイレ姿が見たいと言えばいくらでも見せる。なんなら、見てほしい、知ってほしいぐらい。

 写真でも動画でもいくらでも送る。


 話は戻り、カメラなどを置かしてもらったその日から、私はスマホやパソコンで彼の私生活プライベートを見守り始めた。


 初日辺りは、カメラを覗き込んだり、お風呂やトイレの時少し恥しそうにしていたが、段々と慣れてきたのか普段の生活になってきた。


 私が好きな時間は、彼と電話している時、彼が寝ているときだ。


 彼と電話をしながら、パソコンを見ると、彼もスマホを耳を当て私と電話している姿が映っている。

 彼が電話する姿を見ながら、彼と電話しているのだ。なんだか不思議な気分だ。


 寝ている時間が好きというのは、私は彼にぬいぐるみをあげた。そのぬいぐるみには、カメラと盗聴器が入っている。そして、あげるとき、ぬいぐるみはベッドに置いてほしいとお願いすると、彼はちゃんとベッドに置いてくれた。


 そして、夜。彼が寝ると、ぬいぐるみの盗聴器を通して耳に彼の寝息が聞えてくる。

 それを聞きながらカメラを通してスマホで彼の寝顔を見ていると、まるで隣で彼と一緒に寝ているような気持ちになれる。


 ずっと見てたい、ずっと聞いていたいと思いながら、いつも寝てしまっている。

 勿論、録画録音はしているので、いつでも見れて聞けるが、どうせならリアルタイムで感じたい。


 私は、彼の行く所も知りたい。彼のスマホ、財布、鞄、靴にはGPSが付いていて、どこにいるかすぐ分かる。

 勿論、彼の浮気やキャバクラや風俗怪しい場所に行っているなどと疑っているわけではない。

 ただただ彼の居場所が知りたいだけ。そして、そこに向かい、まるで偶然会ったかのように装い、(彼もGPSの存在(鞄、靴以外)は知っているので、彼も私に合わせてくれている)そのまま一緒に出掛ける。


 ここまで聞くと、私ばかり彼に我儘おねがいを聞いてもらっているようだけど、ちゃんと私も彼のお願いを聞く。

 彼のお願いは、主にエッチなことが多いかも。


 彼は私のおっぱいが好きなようで、よく家で彼の足と足の間に座っていると、むにゅむにゅと揉む。

 彼に触れられるのは嫌ではないし、なんなら沢山触れてほしいぐらいなので、払ったり嫌とかは言わない。

 胸が大きいと肩が凝ったり、男がチラチラ見てきたりしてあまり得はないけど、彼が喜んでくれるなら全てどうでもよくなる。

 エッチの時以外、いつも服の上から触ってくれないから、直接触ってもいいよと言ったら、彼は『手が冷たいから、冷やしちゃう』と言った。

 凄く胸がキュンキュンした。彼は優しすぎる。確かに、彼は冷え性で寒がりで、手が冷たいことはよくある。だけど、私はそんなこと気にしないし、冷たいなら温めてあげたいぐらいだ。


 こんな優しすぎる人間、世界中どこを探してもきっといない。神が生み出した奇跡の人間ひとに違いない。


 そんな人が私の大好き彼なのだ。


 だから、今日も私は彼の私生活を見守る。

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