神 エリス
「あなたはローリエ?」
「ローリエって……」
「エリス。こいつはローリエの子孫だ。」
カロットと呼ばれた蛇も噂で聞いていたエリスとは違って悪い神と思えない。
「あの……ここは一体……」
「ここはイブリースに閉じ込められた空間。イブリースに呼ばれない限り外に出ることはできない。」
エリスを見るとなんだかやつれているように見える。
「あの、エリス。あなたのうわさについて知ってる?私の先祖と関わりがあったのでしょ?」
エリスは私の言葉に反応すると涙をこぼしながら言った。
「私はある人に嵌められたの!それで悪い闇の魔法のほうに取り憑かれてしまって……!」
「ねぇ、そのある人って……」
「イブリースはアーサーに魅了を使っていないの!全部アーサーに取り憑いたクロノスのせいよ!」
クロノス……?イブリースのせいではない?どういうこと?私はセレーネを呼ぼうとしたが、魔法が使えない。私には魔法が効かないはずなのになぜ……?それにさっきもイブリースの魔法に嵌められているし。
「あなたの魔法が効かないという能力がなぜか弱まってる……!まさか……!」
エリスは焦って私の腕を掴むと
「やっぱり……!あなたはイブリースにここに閉じ込められるとき魂のみここに閉じ込められてるの!もしかすると……イブリースがあなたの体を乗っとたのかも!」
「な、なにそれ!?」
エリスが話す事実に私は震えた。私イブリースに負けたの……!?私の体を乗っとったらアイラが危ない!それに私が戻っても誰も助けられない!イブリースの暴走もクロノスも止められない!
「チイ様!大変です!妖精三姉妹たちが……!」
メアリの声がして振り返ると3人が弱っている。それに姿が少しずつ消えているような……
「しっかりして!」
三姉妹たちは弱ってきていてそれに私たちの魔法力も少しずつ奪われてきているような……
「チイ!ここに今ある魔法を移して!それと妖精たちもここの水晶玉へ!」
エリスは持ってきた水晶玉に魔法を移せと言った。だけど
「やめろ!チイ!」
とカロットが急に声を荒らげたが、エリスは今みんなが助かるにはそれしかない!と言い出し
「どうやって!?それに……」
エリスは私の手を取り水晶玉に手をかざせると一気に体がだるくなった。だけど妖精たちも危ないので急いで水晶玉に移した。
「エリス……ありがとう……」
するとエリスは急に笑って
「あなたはやはりバカね!あなたの魔力と能力いただいていくわ!」
「ま、まって!」
私はエリスに手すら掴むことができなかった。
その瞬間いきなりカロットが私の腕を噛み、エリスの腕も噛んだ。だが、すぐ引き剥がされカロットは地面に倒れた。エリスは闇の中から少し光が指しているほうに消えていった。
「カロット!あなた一体……」
「さっきはいきなり噛み付いてごめんな。チイの血液をエリスに入れ込んだから無理に魔法を使わせないようできた。」
この世界では相手の血液に触れるのはもってのほか、血液に近づくと危ない。なぜならその血液すらも操れる人もいるのだから。私は操れないが、カロットは私の血を使ってエリスの中から操ることも可能らしい。
「俺は闇の魔法全ての最高検査官のカロット。今は蛇の姿だ。俺はあの戦いのときハーデスに命じられてここから闇の魔法を悪用しないか見張っていた。だが、エリスがイブリースに取り憑いてからエリスはわざとここに閉じこもっていた。」
「どうして……?」
「エリスはあのとき魂だけの存在になっていたが、長らくイブリースの家系に取り憑き、イブリースの家族たちに自分の魂を移し、自分の体のように使うためだろう。それで完全に操れる体として完成したのがイブリースだ。」
それからカロットから色々な話を聞いた。ここは闇の魔法の源となる場所でここには神以外行き来きできない。そしてエリスは人を欺くのが上手いこと、イブリースの体内に所々住み着きイブリース自身を操っているということ。
「ねぇ、カロット。なぜエリスは闇の魔法を悪用してしまったの?」
するとカロットは鼻で笑いながら
「あいつの嫉妬が原因だ。エリスはセレーネに嫉妬していた。なぜならエリスはハーデスのことが好きだったからな。」
「え!?恋愛感情で動いちゃったわけ!?ってか、セレーネって誰!?」
とメアリがツッコんだ。(メアリ……私も同じこと思ってた……。)まぁ、セレーネのことは後から私が説明しなきゃな。
「でも国を巻き込んでまであの事件は起こりました。他に狙いがあったのでは?」
とクォーツが妖精三姉妹が入っていた水晶玉を大事に抱えながらそう言った。
「ねぇ、クォーツ。国を巻き込んでってことってあなた薄々考えてたけど、あなた神になれるような存在だったのに神にならなかったのね?」
クォーツは驚いた顔をして
「この国の全てをお話しましょう。」
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