もう1人の転生者

「菫青!?なんで!?」

「あはは!驚いたでしょ?それに俺は小さい頃にあっちの世界で亡くなっているから俺のほうがはやく転生してるんだよ?」

たしかに菫青は小さい頃に亡くなっている。だけどこっちで生き延びてるいるのか知らないけどとても好青年に育っている。

「まさかここが物語の中なんて思わなかったよ。それはセレーネに聞いたんだけどね。」

セレーネに菫青はウインクをするとハーデスの髪がいきなり黒になり

「おい、菫青。セレーネに手を出そうとしたら容赦しないぞ。」

とハーデスは菫青に今にも殺しにかかりそうでセレーネは少し微笑んで

「大丈夫よ。菫青にはチイがいるんだから!」

とハーデスをたしなめていた。

「ちなみにだけどチイ、。」

とハーデスは私に問いかけ

「ええ。特に6歳頃はいい夢も悪い夢も毎日見ていた、でもそれがなにか?」

と疑問をかけると

「実は6歳頃のチイを俺がこちらの世界へ頻繁に呼び出してたんだ。夢を通してな。。」

それは驚きの事実だった。たしかに私はここに来る前に死んでいない。ってことはあちらのほうに私の体は生きて残っているはず。

「そしてこの物語自体実は君がこの世界に来るための柱となっていて、他の人はこの本の中身を見ることすらできない。俺が君に幻を見させていた。」

ハーデスから告げられた事実に私は状況が上手く飲み込めない。

「簡単に言うとね、この物語の世界は菫青が死んでから作り出した世界なの。天国でも地獄でもない、もう1つの世界。」

菫青が作り出した世界。それがここだということ。

「ごめん、俺がチイにもう一度会いたくてここに呼んだんだ。チイが昔好きだった物語を作っていつかチイが生まれ変わったらここに来て欲しかった。だけど……」

「状況が変わってしまった。6歳の私が菫青を治した後のあの事件でイブリースに魅了を奪われてから世界が変わってしまったから。」

「そうだ。」

菫青は顔を歪ませて

「本当はチイをここに呼ぶことはダメだと思った。だけどイブリースは女だ。女なら女同士で戦わせたらなにか変わるかもしれないって思って昔から喧嘩の強いチイをここに呼んだんだ。」

菫青もこちらの世界では大変な想いをしたのだろう。だから1人でも自分を知っている人がいればと思い私を呼んだのだろう。それに喧嘩が強いって……

「あれ?私菫青に喧嘩が強いこと言ったことあったけ?」

と尋ねると

「そりゃあ俺がまだあっちの世界にいたとき病室から見ちゃったんだよね〜。男子小学生相手に1人で勝っちゃうんだもん。」

あのとき見られてのが恥ずかしすぎて私はしゃがんだ。

「俺はそんなところもチイの魅力の1つだと思うんだけど?」

菫青は私を見てニッコリ笑いながら顔を覗き込もうとして私は顔が真っ赤になってしまった。

いい顔すぎるから本当に心臓に悪い。

「イチャついてるところごめんなさい〜。話を戻してもいい?」

とセレーネが言う。

「菫青は5歳の頃に亡くなってあちらの世界で亡くなって転生したときはこの国を設定や人を作った。そしてアイオライトとなり転生したときは6歳頃。そのときこちらの世界でも病気になっていて、チイをここに呼び、こちらの世界ではチイは魔法を使えるようにした。そのときチイは治療魔法を使ったの。」

「え?でも私治療魔法は使えないよ?」

セレーネはまるで私が治療魔法が使えると言う。セレーネはまさかの爆弾発言をする。

「あら?それは真実の愛のキスよ?」

「なんちゅうことをー!?」

(キスだけに?じゃないわ!)

まさかその当時の治療魔法がキスだとは思わなかった。

「あれ?菫青はあっちの世界ではがんで亡くなったけどこっちの世界で……」

「あー、クライネ・レビン症候群。あっちの世界ではそう言うね。これを治すのにこっちではチイのキスが必要だったの。」

「い〜や、眠り姫か!」

と思わずツッコんでしまった。菫青は笑うけど私はずっと恥ずかしい思いをしている。

「だけどあの当時眠り続けてしまうから体も弱くなってチイはあの当時人にキスをすることで治療魔法が使えたんだ。だけど俺の病気を治すせいで大量の魔力が必要であれ以降治療魔法は使えないんだ。それぞれの属性の魔法にも限界があるようにね。自然だったらまだ使えるんだけどね。」

まさか昔の私にそんなすごい力があるなんて思いもしなかった。

「チイ。この戦いが終わったら君を元の世界に戻すから安心して。俺と一緒に戦ってくれないか?」

「わかった。協力する。」

「ほんと!?ありがとうー!」

と菫青は勢いよく飛びついてきて私はソファに倒れこでしまった。大型犬すぎる……その様子を見ていたセレーネとハーデスは笑っていて口パクで

「あとは楽しんで」

と言い姿を消した。

「チイ〜!本当にありがとう!」

菫青を見て私は最近ドキドキしている。この胸の高鳴りはきっと気のせいだ。

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