王宮でのはじまり
「おはよ」
「ん……?……!」
目を開けると私は馬車の中でアイオライトの膝に頭を預けて寝ていた。
「もう着くからね」
アイオライトは私の頭を撫でると私は頭を覚醒させ急激に起き上がった。すると
「「いたっ!」」
と私とアイオライトのおでこがぶつかった。
「ご、ごめんなさい!私回復魔法ができないから……」
私は魔法で氷を作り、アイオライトのおでこに当てた。すると馬車の外から見ていたスピネルが笑い出して
「ばーか」
と言っていたような気がした。そんなスピネルはメアリを抱きしめるように馬に乗っていた。そんなメアリは幸せそうに笑っていた。あの領地にはメアリの好みの人がなかなかいなかったからスピネルといて幸せそうなメアリを見て安心した。
「にしてもさ、チイのメイドのメアリ強くない?」
「あー、それは……」
私たちの領地では昔イブリースの魅了にかかりやすい男性が多かったため、魅了が効かない女性が強くならないといけなかった。私の領地のメイドではメアリは二番目に強い。一番強いのはお母様のメイドであり、メイド長のカルセドニーだ。カルセドニーは歴代メイド長の中で一番若く就任し、お母さまと同い年だ。カルセドニーは魔法は使えないが、頭の良さと剣術が優れている。
「メアリはメイド長に鍛えられていたので……」
「そっか。だって今日俺が眠ったままのチイを宿から抱えて出るときメアリとスピネルが手合わせしててスピネルをあんなに追い詰められる人は俺以外にいなかったからね~」
メアリ……これ以上は強さを隠して!と心から叫んだ。
「着いたよ」
アイオライトは馬車から降り、私をエスコートしてくれた。するとそこには
「ご機嫌よ、アーサー様、イブリース嬢」
私にとってゴミの価値しかない二人がいた。それに前回パーティーにいた人たちもいた。私は周りを見渡すと前回かけた魔法解除で今後イブリースの魅了に効かない人たちがほとんどだった。だけど魔法解除が解けてるはずなのにまだイブリースを信じているアーサー。アーサーは昔魔法解除を行っているが、どうやら私の推理は当たっていた。それは……
「2人とも結婚式はいつです?早く結婚して世継ぎも産まなくてはねぇ……」
とアイオライトが言った。するとアーサーは少し困った顔をしていてなにか言おうとしていたがイブリースが遮って
「今のところ来年の春にしますの!」
と笑顔で言った。そしてアイオライトに魅了をかけようとしたが、私の魔法とハーデスの加護によって跳ね返された。ちなみにアイオライトのハーデスの加護には魔法を跳ね返すことができるのとその人に呪いをかけることもできる。イブリースは魅了が跳ね返され少し顔をしかめていて、私を睨みつけ
「あら?私の顔になにかついていました?あぁ、きっと魔法が効かないからですか?」
ちなみにだけどこの世界では人の魔法を奪うのはご法度だ。イブリースは生まれて家で悪魔の子と言われ育ってきた。なぜかと言うとイブリースは魔法を奪うことしかできないのだから。そんなイブリースに優しくしていたのが、アーサーとアイオライトだった。だけどイブリースは私がいつも2人と仲良くしているのに嫉妬し、アイオライトが病気で弱っていて私が魔法を使った後、アーサーが怪我をしたということで私が治療しに行くことになった。そのとき私はアーサーが何者かに操られている魔法がかけられていることに気づき魔法解除を行った。そして私が魔法解除中のとき嫉妬にまみれたイブリースが後ろから私を刃物で殺そうとした。私はなんとかアイオライトに守りを魔法で送り、アーサーにも送ろうとしたが間に合わず、私は何度も刺され串刺し状態になった。イブリースは私の魅了のせいで2人は優しくなくなったと思い込んだ。そこでイブリースは私から魅了を奪った。そしてイブリースは魅了を使いアーサーに助けを求めアーサーに私が誰かに襲われたと言い自分の罪を隠し、そして私が魔法を使い果たしてこんな状態になったと説明した。私が寝込んでいるときにアイオライトにも魅了を使った。生憎アイオライトは私の魔法が体内で融合されていて効かなかったのと守りの魔法をかけたからである。それに私の魔法の作用でハーデスの加護に覚醒したらしくその加護はアイオライトを守っていた。アーサーは魅了にかかってしまい、そこから変わってしまった。しかし今回の魔法解除で分かったのはアーサーはイブリースが好きだから魔法が何十倍にも固くかかってしまい、これは神にしか解けない魔法だということに気づいた。ちなみに私は2人には魅了を1回も使っていない。イブリースは可哀想な人生を送ってきて、私もイブリースと関わって誤解を解きたいと思ったけど、生憎イブリースの思い込みがひどいし、王宮にいる男たちに全員に私の魅了を悪用したから許せない。それに彼女自身が今まで行った行為から神々に嫌われているとか。彼女は国民から女神と思われているが、残念ながら悪魔だ。彼女は私以外にも魔法を奪っていたらしいし。イブリースは私に手を出そうとしたらアイオライトが私を抱き寄せ
「俺たちもいずれ結婚するけどね」
と言うとみんながざわつきはじめ、
「王位継承者は誰になるんだ……!?」
そしてイブリースは私を見て睨みつけ
「あーん、怖いわ。睨みつけてくる……」
とアーサーに寄ると
「チイ!イブリースになにかしたらただじゃおかないぞ!いまのところ俺が王位継承者だからな!」
感情が強い人間は理性を失うというのであれば私は恋愛をしたくないと感じた。
「アーサー様もアイオライト様も全部私が奪ってやるんだから……!」
イブリースがそんなことを私の耳元で言ってた気がした。
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