いざ王宮へ

門の前にアイオライトたちは来た。私は荷物をまとめてメアリと王宮に行くことになった。

「さぁ行こうか」

「はい」

アイオライトは私の手を取った。

「馬と馬車どっちがいい?ここから王宮まで2日くらいかかるけど。」

「王子はどちらに乗りますか?」

と言うとアイオライトはニヤニヤして

「もしかして〜?俺と一緒にいたいの?」

「イブリースからの魔法を解除するのやめますよ。」

「えー!ごめんって!」

周りにいる騎士たちの目が前と変わって私の発言に対しゲラゲラと笑っていた。

「あ、俺の側近の騎士紹介するね。」

「こんにちは、チイ様。アイオライト様の側近であり、騎士のスピネルと申します。」

スピネルはとても体つきが良く、クールな雰囲気だが、笑顔になるととても明るい人のように見えた。

「チイ、男は俺だけにしてね?」

「相変わらずアイオライト様は愛が重いですね。」

アイオライトは私の後ろから抱きしめながらスピネルとわーわー言い合いをしていた。

「もう出発しましょ……」

結局アイオライトの嫉妬?で私はアイオライトと一緒に馬車に乗ることになった。

「あ、出発する前に……みなさんここに立ってもらってもいいですか?」

「あぁ……」

「ここから私がやることは決して口に出さないでください。これからみなさんに他の人の魔法が効かないよう保護魔法とイブリースに取り憑かれていた魔法解除を一斉にします。解除となると取り憑かれている人の場合少し苦しいかと思いますが、すぐに治ります。」

「分かりました。だけどもしこの魔法のことを口にしたら?」

と騎士たちが言うと

「んー?言う度に体の臓器が1個ずつなくなっていくぐらいですかね?」

「……こわ」

「じゃあやりますね!」

私は祈りを込めると周りが光に溢れ魔法陣が出てきた。

「この世界の神セレーネと戦いの女神アテナよ。この者たちを生涯守りたまえ!」

と唱えると少数だけ苦しい人がいたが、みんなは特に異常もなかった。

「なんだか優しい魔法だな……」

「まるでお母さんのお腹にいるように暖かく包み込まれているかのようだな。」

魔法をかけ終えるとみんなに笑顔が溢れていた。それに今までのことでイブリースに魔法をかけられていた人もいたので、動揺している人もいた。

「では、行きましょうか。」

「あぁ。」

とりあえず私の周りにいる人を敵にしないという計画はひとまず済んだ。イブリースはきっとこれから私の魔法解除を奪おうとしてくるが、この魔法は誰にも奪えない。だってこれは

「知識と知識を組み合わせた魔法だったね。これは唯一無二の君だけの魔法だね。」

「えぇ。」

元々あの魔法は私たちみんなが使っている魔法はセレーネとアテナのおかげであって2人は元々光の魔法が得意だから私たち人も光の魔法を体内に宿していることが多い。だから私は光の魔法と本で勉強していた魔法解除の方程式を組み込んでつくった魔法で、解除と加護、魔法が聞きにくくなるような効果がある。時々ハーデスといって死を司る神の魔法を宿している人はいるが、無差別に人を殺さないようにハーデス自身が無差別に魔法を発動させないよう鎖でくくっているとか。そしてこのアイオライトは王室では珍しく死の魔法を使える。

「俺は簡単に魔法を使うことができないからなぁ〜。チイが羨ましいよ。」

アイオライトは少し悲しそうな顔をして言った。

「アイオライト様。魔法ができても剣術ができない人もいますし、学問ができても魔法ができない人もいます。みんなできないところを補って生きていくものなのですから、アイオライト様にしかできない役割を果たしてください。」

「チイ……そうだね。じゃあチイに慰めてもらおっかなー?」

アイオライトは私に近づこうとして

「この変態王子が!」

私は魔法を使わずにアイオライトの頬をビンタした。



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