はじめまして、ヒロイン
「おい!聞いてるのか!」
怒鳴っている声のほうへ振り向くとそこにはこの小説のヒーローのアーサーとヒロインのイブリースがいた。アーサーのほうの目線がどこに向いているか後ろを振り向くと
「チイ!お前だわ!」
とツッコまれた。
「あ、そうですか。で?なんの用ですか?」
私は呆れてアーサーを見る。するとアーサーは
「お前、イブを裏でイジメてたらしいな」
「はぁ?」
「イブが泣いて俺に訴えかけたんだ!」
この王子はどこまでバカなのか心の中で思った。ちなみにこの匂い……魔法を使っている。これはイブリースからだ。ちなみに私が転生した悪役令嬢の能力は他の人からの魔法が一切効かないこと、誰かが魔法を使っていると匂いで感知することができるらしい。そして得意なのは魔法解除。さきほど頭に悪役令嬢の記憶が一気に流れ込んできて魔法もこの国に関係することも全て把握することができた。
「じゃあ言いますけど、なにをやられたんですか?」
するとイブリースが泣きながら
「魔法で私の腕に火傷を……!」
すると周りがざわつき始めヒソヒソと私の話をする。
「学園で優秀なあの方がイブリースなんかに?」
「イブリースに火傷をさせるって……!」
私は呆れてイブリースに近づいた。するとアーサーはイブリースを守るよう私に背中を向けた。
「じゃあ追跡魔法をしてもよろしいですか?」
「お前、何を言って!」
「え、」
私の追跡魔法は現代で言えば科捜研での調べとなる。私の魔法には誰がこの魔法を使ったか魔法の術式を解いて魔法の持ち主を解明することができる。
「いいですよね?それに私がかけた魔法ならその人には一生私の魔法が呪いのようにつくのでついでに解除もしたいので。」
とイブリースに圧をかける。アーサーは
「解除してくれるなら、いい。」
ほんとにアーサーがバカでよかった。
「じゃあイブリース、腕を。」
とするとイブリースは腕を私に出し私は追跡魔法を始めた。するとみんなの前で術式が大きく出て
「な、これは!」
「イブリースじゃないか!」
「ってことは自作自演……!?」
周りはざわつき始めイブリースは自分の能力を使い始めた。
「チイ様にやれと言われて……!」
イブリースは泣いてアーサーに縋り付く。はぁ、これか。この女の能力は。私は効かないけどほかのやつが……今日はその能力を見てみたくて周りを守らなかった。
「チイ!お前イブリースになにしてくれたんだ!脅しじゃないか!」
弱い犬ほどよく吠えるってこういうことか。
「他にも証拠はあるけどどうする?イブリースの血液からその一部始終見れるけど?」
すると怒ったイブリースは私を目掛けて魔法で槍を放った。しかし私の魔法が効かない能力を知らないのか
「な、なんで……!?」
私は心の中で笑った。私はイブリースの背後に周り
「いい?
私はそう囁くと今度は素手で私を殴ろうとしたが、私は軽々受け止め
「ごめんね、私も剣術とか習ってるから。」
私はイブリースに少し魔法をかけアーサーのところまで風で吹き飛ばした。するとアーサーはアーサーの側近らを呼び私を囲んだ。
「殺してもいい……やってしまえ!」
その声と共に敵はやってきたが私は魔法を少しいじって全員を吹き飛ばしついでに魔法の縄で壁にくくりつけた。
「これで満足かしら?」
私はニコニコしながらお辞儀をしてその場を立ち去った。そしてアーサーの側近にイブリースの能力が効かなくなるよう時間差の魔法をかけ、その場を立ち去った。
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