第3話
砲撃陣地の爆発から逃れることのできた彼らは敵からの追撃を避けるため、洞穴の中に退避した。その洞穴は入り組んでいた為、奥に行き発見されにくいようにした。そして、休憩を行いつつ外の様子を伺っていると突然外から光が照らされた。見つかったのかと警戒し、銃を構えていると大きな声が聞こえてきた。
「お前たちに逃げ場はない。今すぐに投降しろ。武器を見える位置に捨て、手を上げて出てこい。」
その声に警戒し、打開できる可能性を考えていると、一人が銃を構え敵に向かい走り始めたが、物陰から出た瞬間に撃ち抜かれ、砲弾も撃ち込まれ跡形もなく消え去ってしまった。それを目の当たりにし、抵抗は無駄だと悟った者たちは武器を投げ捨て投降した。
_____???____
朝目が覚めると身支度をし、毎日の日課をこなす。それが終わると最近海岸の防衛に力を入れている王国軍がこちら側まで迫ってこないか警戒する。付近にある切り立った崖の上に移動し、夜間の警戒にあたっていた兵士と交代する。
秘力の放出を限界まで抑え、周辺の植生に合わせた布を被り直す。この状態で浜辺や沖合、王国軍が形成した陣地やそこで動き回っている人影を監視し続ける。そして、昼頃になると沖合に多数の傷だらけの艦が出現した。
その艦は王国軍が形成した陣地に連続した砲撃を加え、陣地は瞬く間に崩壊していった。王国軍も被害を抑えようとしているのか空中に半透明の板を浮かべ、それに砲弾などが着弾すると空に向かって爆炎が伸び、攻撃を無力化している。その砲撃は数時間にわたって行われていた。
砲撃が終わると、多数の小型の船とその船を守るように大型の艦が砂浜へ突撃を開始していた。王国軍は多数の砲弾を撃ち込んでいたが、堅牢な艦の装甲に阻まれなかなか撃沈にはいたれていない。
船と艦が砂浜に乗り上げると、中からヒトが飛び出し破壊した陣地へと接近していった。王国軍からの熾烈な弾幕により、次々と倒れていくが、それでも抑えきることができず、少しづつ接近されていった。
設置されている鉄条網により進撃速度は一時的に低下したが、間もなく鉄条網も破壊され進撃が止まることがなかった。しかし、その頃には日も落ち始めたためか、後退を始め艦の中へと隠れていった。
それと時を同じくして私と交代する兵士がやってきたため、気づかれないように基地へと戻った。
「リーダー、遂に戦闘が始まったよ。無獣共の軍隊が北側から迫って来ている。王国軍はこれを察知して動いているみたいだ。我々はこの戦闘をどう対処する?」
「そうね。王国も無獣も数だけは多い。戦況を見つつ気付かれないように動こう。明日もあなたにお願いするわ。部隊の動きをよく見ておいてね。」
その後も少し会話を交わしたあと二人は別れ、自らの部屋へと戻った。翌日に備え、武器や各種道具のメンテナンスを行ったあと就寝した。
翌朝目が覚めると基地内が少々騒がしくなっていた。近くを通った者に何があったのかを聞くと、どうやら深夜に沿岸からかなり大きな爆発音が鳴り響き、偵察からの連絡で二本めの鉄条網が吹き飛ばされていることが判明したようだ。
そのため、あらかじめ定められていた対応計画をかなり前倒しし、その結果の喧騒だという。私も計画に沿って行動するべく素早く身支度し、偵察位置へと移動する。
その頃にはすでに戦闘が始まっており機能よりも激しい戦闘が繰り広げられていた。船から出てくる無獣や新たに海岸から上陸してくる無獣に対して砲撃や銃撃がなされており、かなりの勢いで数を減らしていく。
然し、昨日と同じく無獣の進撃は止まらず、突貫で設置したであろうバリケードなどの障害物は、そのすべてが爆破され・切り刻まれることにより、すぐに障害物としての機能を喪失し、たやすく踏み潰されていった。それでも王国軍は決死の防衛を行っており、より激しく銃弾や砲弾・魔弾を打ち込んでいった。
それにより無獣の数は格段に減少したが、その屍を踏み越えて進撃する無獣を食い留めることができず、遂に塹壕陣地へ侵入するまでに至った。塹壕に飛び込んだ無獣は銃撃以外にもナイフや鈍器を使った格闘戦を行っていた。
最初のうちは王国軍が優勢であったが、飛び込んでいく無獣の数が増えるほど押されていき、瞬く間に突破されてしまった。
それを見た私は基地へと連絡を行うとともに偵察位置を交代させた。慌ただしく進んでいく王国軍の車両を尻目に見ながら、誰にも気づかれないように叢の中を進んでいった。
そして決められた位置についた私は再び監視を開始したがそのときには丘の上に存在していたコンクリートづくりの要塞は爆発していた。今現在ももうもうと煙が立ち込めていて見通しが悪く鮮明に見ることができない。
そのまま監視を続けていると警戒のため小隊をこちらに派遣するという連絡が入り、間もなく小隊と合流することに成功した。小隊は捕縛用の装備も持っているので、捕虜として捕縛しようとしているようだ。
発見される確率を下げるために小隊員は散らばり、各自で警戒を続けていると、最後の王国陣地での戦闘が始まったのかあたりが明るくなるとともに銃声があたりに鳴り響いた。
しかし、王国軍には抵抗する余力が無いようですぐに戦闘音が収まった。そのまま無獣の行動を監視しているといきなり走り始めた。このことに驚きつつも基地へ近づかれないように移動を開始すると、王国軍陣地が勢いよく爆発し、あたりに炎を撒き散らした。
どうやらこの爆発から逃れるために移動をしたようだった。その後も無獣の監視を続けると、洞穴へと入っていく姿が見え、包囲するために洞穴を取り囲むために移動を開始した。
「お前たちに逃げ場はない。今すぐに投降しろ。武器を見える位置に捨て、手を上げて出てこい。」
そう呼びかけるも中々投稿せず、幾許かの時が過ぎた後、無獣が銃を構えて迫ってきたのを確認するとすぐに銃撃し、確実に殺す為、砲弾も打ち込んだ。
これで全滅したかと思ったが、銃が投げ捨てられたので警戒し、出て来た無獣を捕縛した。
とある研究所にて @kurone0
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