桃太郎②

 ぼたん一行が鬼ヶ島に着くと、鬼たちは近くの村から盗んだ宝物やご馳走をならべて、酒盛りの真っ最中です。

 ここで、ようやく目を覚ましたポゥポゥ。

 「あれ? ここどこ?」

 そう言いながら周りを見渡すと見覚えのない場所。

 近くで何かをしているぼたんに尋ねます。

 「ししろ、何してんの? それなに?」

 「M224 60mm軽迫撃砲」

 「え? え、えむ、なにそ」

 そう言いかけた時、ドン! と、腹に響く発射音とそれと同時に聞こえるキーンという金属音に驚くポゥポゥ。

 楽しそうに迫撃砲を発射するぼたん。

 ポゥポゥは目を丸くしながら、ぼたんに言います。

 「な、なな、なにしてんの!?」

 「迫撃、あははは」

 「は、はくげ」

 そう言いかけた時、ドパーン! と、爆発音が遠くの方から聞こえました。

 見ると、遠くの方で鬼たちが吹き飛んでいました。

 さらに目を丸くするポゥポゥ。

 その時です、ズドォンと耳をつんざく轟音に脊髄反射でぼたんの方を見ると、腹ばいになりながら、銃のようなものを撃っています。

 「な、ななな、なに、それ?」

 「お爺さんのバレットM82、去年の誕生日に貰ったんだー」

 嬉しそうに言うぼたん。

 さらに続けてぼたんは言います。

 「んでねー、こっちはねー」

 そう言いながら、違う銃を見せます。

 「お婆さんから今年の誕生日に貰ったんだー、カッコイイでしょー」

 ぼたんは満面な笑顔で、HK416をポゥポゥに見せ、話を続けます。

 「んでねー、これねー、タイプがあってねー」

 「分かんない分かんない! 説明されても分かんない! それよりも」

 そう言いかけた時、ワー! と、大勢の声が聞こえ、見るとこちらに向かって来る鬼たちがいました。

 ポゥポゥは慌てふためき、逃げようとしますが、ぼたんがポゥポゥに何かを投げよこしました。

 「な、なにこれ?」

 「トンプソン」

 「と、とんぷ? 誰それ?」

 「あははは! 誰って、あははは! おまるん面白いなー」

 大笑いするぼたんに、ポゥポゥは驚きと戸惑いが混じる顔で言います。

 「面白くないし、笑うとこじゃないし、てか、なにこれ?」

 「サブマシンガン」

 「え?!」

 「頑張ってね、おまるん」

 ぼたんはそう言うと、銃を持ち向かってくる鬼たちの方へ走って行きました。

 「が、頑張ってって……、おい! ししろ! 私、撃ち方知らないし! どーすればいいの!?」

 「引き金引けば弾出るよー」

 ぼたんはそれだけ言い、走り去っていきました。

 唖然とするポゥポゥ。

 ふと我に返り、辺りを見渡すと、酔いつぶれ一升瓶を抱えながら寝ているラミィちゃんと、お腹いっぱいになって大の字に寝ているねねちがいました。

 ポゥポゥは二人の所へ駆け寄り、起こそうとしますが、全く起きません。

 その時です。

 背後から大きな影が三人を覆いました。

 ポゥポゥは、恐る恐る振り向くと、そこには大きな鬼がいました。

 「くぁwせdrftgyふじこlp!」

 流石はポゥポゥ、伝統的な声にならない声で驚きを表現します。

 そして、驚きのあまり、鬼に向かって引き金を引きました。

 ズドドドドド!

 サブマシンガンと言えども、流石は45口径、一瞬で鬼を倒してしまいました。

 ですが、トンプソンの弾を発射する衝撃はすさまじく、ポゥポゥは尻もちをついて倒れてしまいました。

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