第24話 平成元年
はい、総理。Aの事実を見抜く目でございますね。残念ながら、そこまでは見抜けないかと思われます。
しかし、事実を見抜く目は必要です。いつまでもZの支配下ではAが滅びます。いつまでもZに忠実に尽くす犬状態ではあってはなりません。
「そうだ。Aの事実を見抜く目が大切になってくる。そのための舵取りを我々はこれから先行うべきだと思う。
私たちの船はもはやタイタニック号にまってしまうのか。
いつまでもZの言いなりではならない。いつまでもZの言いなりではならないのだ。Zに忠実に尽くす犬のように見せかけて、逆にZを操られるくらいのそんな逸材が欲しいものだ。どうAを目覚めさせるか。これ以上、Zに支配されるわけには。これ以上、Zに支配されるわけにはいかない。
いつか必ずこの先で、立て直しをする日がくるだろう。その日に全ての事実が表に出るかもしれない。や、表に出すかもしれない」
はい、総理。全ての事実が表に出たとしたら、その時Aが穏便に目覚めることを私も望みます。タイタニック号など。そんな物に私はさせません。
「穏便か。事実が事実だ。Aは温厚な人間だ。事実を素直に受け入れるだけの器量があるかもしれない。穏便に済めばよいが。Aの力を信じてみたい。Aの力を信じてみたくなった。未来は明るい。そう信じよう
タイタニック号は沈まない」
はい、総理。タイタニック号は沈みません。沈没などさせません。
今ではもうすっかりZに飲み込まれているAですが、いつの日か必ず目覚めるときが来るはずです。私も総理と同じようにAの未来は明るいと信じます。そして、Aの未来を明るくさせるのが私の仕事でもあります。私はAに希望の光を与えたく思います。
裏方に回りますが、陰ながら支え導きたいと思います。光の方向へと。
「希望の光か。その光が消えぬようZには十分注意すべきだ。Zに気づかれぬよう細心の注意が必要になる。君も用心したまえ。何が起こるか分からない。例え事実を知ったかといって、知らないふりをすることも重要となる。Zに狙われぬよう常に用心すべきだ。
今からもこれから先もだ」
はい、総理。ありがたきお言葉、感謝いたします。総理も重々お気をつけください。私も身を隠します。秘書の裏方を務めます。
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