第8話 プロローグ

「分かっている。分かっている。とにかくもう知ってしまったのだ。私たちは知ってしまった。隠しようもないくらいの事実を隠さなければならない。隠しとおさねばならない。

 もうお互いうんざりだな」


 さようでございます、総理。しかし、総理。次期総理の準備を進めさせていただきますが、よろしいでしょうか。


「あぁ、分かっている」


 総理、私も覚悟ができました。


「私も覚悟はできている。では、さっそく開始しようではないか。支持率を確保せよ」


 かしこまりました、次期総理。必ずやこの私が貴方様を次期総理大臣にしてみせます。


「よし、任せた。お前に頼む。よろしくな」


 ありがとうございます、次期総理。いえ、総理。大船に乗ったつもりでおいでください。必ずやこの私が貴方様を総理大臣にしてみせます。


「うむ。タイタニック号にならないことを祈る」


 お任せください、総理。タイタニック号になどなるはずがございません。私と総理です。大船でございます。


「ならいいのだが」


 お任せくださいませ、総理。


「よし、支持率の確保を始めるぞ。君にもよろしく頼む」


 総理、こちらこそ。よろしくお願いいたします。


「よろしくな」


 では、総理。ご武運を。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る