第7話 プロローグ
総理、ありがとうございます。
私は貴方様に感謝しても感謝しきれません。私たちは分かっておりながらも、知らなかったが知ってしまった。知って知ったが知らないふりをしなければなりません。これが宿命とは。
現実とは残酷です。
総理、総理は心の準備が整っておられますか。私は無理にでも整えようと思います。
「そうだな。私も同じくだ。
どんな事実を知ろうとも、これからは受け入れていこうと思う。
そして、その事実は歴代総理と秘書にしか知らせない。この先、時代が変わりゆくまでは」
はい、総理。事実を隠すためにも、これからは少し暗号を使いたく思います。これからはあちらをBとして表現しましょうか。こちらをA。あちらをBとして。
「いや、それではあまりにも単純だろう。それならもっと暗号化しておかねば」
ではAとZでは、いかがでしょうか。こちらをA。あちらをZとして。
「うむ。よいであろう。私には他に思い浮かばない。だが、しかし。お互いのネーミングセンスには笑えるものがあるな。私にはセンスが欠けていると思わざるを得ない」
さようでございますね、総理。私も同じくです。総理、これからもよろしくお願いいたします。
「大丈夫だ。君が心配することはない。私が立派に演じてみせよう。次期総理大臣を」
ありがたきお言葉です、次期総理。
「もうやるしかない。やるしかないだろう」
総理、ご立派でございます。
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