第40話 反則
コメント欄:
『やっぱりエマちゃんか!』
『ヒカゲちゃんも顔出しきちゃーーー!』
『二人とも美少女だな』
『歌配信はどうすんだw』
『何が起こってる⁈』
『突発オフコラボ! しかも顔出しwwwww』
『マジで極ライブ何でもありで草』
………………………………
いい具合にコメント欄は温まっている。
でもこのままじゃダメだ。
所詮、エマの顔出しは私の二番煎じ。このままだと同じ道を辿る。
私たちを見飽きたら配信はまた白ける。
アドリブで面白い展開を考えろってか? クソ爺が!
思わず管制室の矢崎を睨んでしまうが、奴はニヤケ面で事の成り行きを楽しんでいる。
「さてと、……で? 私はこの展開をまーったく知らされてなかったんだが、ヒカゲは何か言われてきたのか?」
「…………」
エマは黙って首を振るだけ。
マジでノープラン。ぶっつけ本番。おっとり刀。
「さっすが私たちの運営様だ!」
手を広げ、役者ぶった動きで道化ぶりを誇張する。
そして、私はヤケクソ気味に視聴者を煽った。
「見ろお前ら! これが我ら極ライブだ! アーッハッハッハ!」
コメント欄:
『狂ってやがるwwww』
『どうなってんだコイツらw』
『なんで笑ってんだこの人……』
『今日も姉御は元気だなぁ』
『高笑いする姉御と、真顔のヒカゲちゃん……温度差どうなってるん?』
『まともな奴が一人もいない』
『ごめん、これって何の配信だっけ?』
………………………………
これが何の配信かって? 私が聞きてーよ!!
思わず視聴者に八つ当たりしてやりたくなるが、そうも言っていられない。
「ハァアアア……。ま、二人になったもんは仕方ない。お前ら、私たちに何をして欲しいか言ってみろ」
こういうのは視聴者に丸投げだ。
求められていることは顧客から直接引き出すのが一番早い。
コメント欄:
『一応歌配信なんだし、ヒカゲちゃんにも歌ってもらったら?』
『ヒカゲちゃんに歌ってもらえば?』
『普通に二人で雑談配信したら?』
『二人で適当にイチャついてくれ』
『歌って』
『デュエットでもしたら?』
………………………………
なんだかんだ歌配信自体は求められているのだろうか?
どうにも企画継続を望む声が多い。
しかし、エマに歌ってもらうとなると……無理だろ。
「いや、ヒカゲに歌はちょっと……」
「……いいよ」
はい? なんて?
「ヒカゲちゃん? 本気?」
私の問いかけに何やら心外そうな顔をするエマ。
そんな顔をされても困る。
どう考えてもお前の普段の行いが悪い。
まさかエマが人前で歌うだなんて誰が思うよ。
「…………いける」
しかし、エマは私の考えを他所に乗り気だ。
たしかにエマの声は可愛いんだけど、歌声は想像もつかない。
なんせ、ベースがメスガキボイスだ。
電波曲とか歌うんだろうか?
「ちなみに何歌うの?」
「……アヴェ・マリア」
嘘じゃん…………。
エマはおもむろに歌い始める。
そして――。
「めっちゃ上手いじゃん……えぇ? なんでぇ?」
「……ありがと」
普段の声からは想像もつかない美声。
エマは口からCD音源を出せるタイプの人間だった。
それは反則だろ。
現在の同時視聴者数17万人。
そして、極東ミネネのチャンネル登録者数は27万人を突破していた。
◆あとがき・宣伝
私が大好きな『マリみて』。私は百合と言ったらあの作品が出てきます。
ということで、どこかでカトリック要素をぶっこみたかった……。
ちなみに、アヴェ・マリアは『天使祝詞』とも言うらしいです。
エマちゃんにぴったり……か?
はい、そんなわけでこんばんは。真嶋です。
本日は皆さんに嬉しい報告があります。
遂に本作が現代ドラマ週間ランキング1位になりました!
ありがとーーー!!!
本当に、普段読んで下さっている皆さんのおかげです。
これからも誠心誠意頑張るので、よろしくお願いします。
作者的にはランキングで1位を目指すこともモチベーションの一つだったので、非常に嬉しいです。
そして、宣伝になります。新作ではありません。
現在開催中のドラゴンノベルス小説コンテストに別作品で参加しています。
タイトル:『転生したら一般人の1/100しか魔力がないクソ体質だった私、それでも最強の魔導士を志す~【欠陥品】と馬鹿にされていたけど全部オリジナル魔法で何とかなりました~』
URL:https://kakuyomu.jp/works/16818093074984840909
コンテストは読者選考(フォローや★の数)が鍵になっており、皆さんに読んでいただくことが非常に重要になってきます。
ということで、この場を借りて宣伝させていただいた次第です。
是非、上記の作品も読んでやってください。
そして、もし気に入っていただけましたら★、フォローで応援いただけますと幸いです。
以上、あとがきと宣伝でした。
長々と失礼しました。今後ともよろしくお願いいたします。
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