第26話 メスガキ➁
『あ~あ、何でもするとか言っちゃって……♡』
『必死に年下の女の子にお願いして、恥ずかしくないのぉ♡』
『だっさ~♡』
どうしよう、エマのメスガキ化が止まらない。
「おい、無駄に解像度の高いメスガキを披露するな。もう黙っていいぞ」
『え~、どうしようかなぁ♡』
「とりあえずハートマーク付けるの止めようか。なんかムカムカするわ……」
『ん♡』
遂にいつもの『ん』にまでメスガキが侵食してやがる!
ハートマークを付けるだけでちょっとエッチになるのなんなんだろうね……。
「にしても、どこでメスガキ構文なんて覚えやがった」
エマがそういう類のコンテンツに興味があるとは思えない。
もしや、矢崎か葛西が仕込んだのか? 最低な野郎どもだ!
私の妹分をこんなにしやがって! 絶対に許せねぇ!
『前にハズレお姉ちゃんが私の携帯で見てたエッチな漫画の広告でやってた♡』
犯人は私だったらしい。大変申し訳ございませんでした。
ちょっとサイト巡りをしていたらエッチな広告が目に入っちゃったんだもん……。
心の中のオジサンがむっくりと顔を上げてしまったんだ……不可抗力だよ。
『矢崎と葛西も呆れてた♡』
そういえば、私たちの携帯ってアイツらに監視されてたわ。
あーあ、終わりだ。
絶対に14歳のマセガキがエロ本読んで興奮してたと思われた。
その通りだけど。
「もしかして、矢崎が私の携帯を急いで用意してくれたのって……」
そういえば、端末を用意するのは時間が掛かると言っていた割に私の携帯はすぐに届いた。
エマの携帯でエロ本を読ませないためだったんじゃ……。
ダメだ、もう考えるのは止めよう。誰も幸せにならないよ。
今はそれよりも――――。
「にしても急に饒舌になったな、エマ。そんなに私に叶えて欲しいお願いがあったのか?」
『ん♡』
私にお願いしたいことってなんだろうか。
軽はずみに何でも言う事を聞くとか言ってしまった。
つい最近、自分で吐いた言葉の重みを理解させられたばかりだというのに……。
矢崎の野郎、何が百合営業だ。
これから私はこのメスガキとコンビを結成して人前でイチャつくのか?
先が思いやられるぞ。
「はぁ……。で、何をして欲しいんだ?」
『歌って♡』
歌か。どうにもエマは私の歌が好きらしい。
私の初配信でもエマはヤケクソ歌企画を熱心に見ていた。
「そんなにいいもんじゃないけど?」
『ハズレお姉ちゃんは良い声してる♡』
私には全く分からないけれど、エマには何か感じるものがあるのだろうか。
なんにしても、褒められて悪い気はしない。
「そっか……。じゃあ、良いけど」
『やった~♡』
うんうん。喜んでくれて何よりだ。
それはさておき。
「で、そろそろホントにハートマーク付けるのやめような」
今度はメッセージではなく目の前のエマから直接応答があった。
「……ん」
いつも通りの一音の返事とつまらなそうな無表情。
やっぱりエマはこのくらい不愛想なくらいが丁度いい。
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