第一章 極東ミネネ爆誕
第1話 プロローグ①
どうも、こんにちは。クソガキです。
自分の名前はまだわかりません。
パパとママからは
親しみのある良い呼び名だよね!
そんな私の両親は、とーっても仲良し!
ご覧ください、これが我が家の団欒風景です。
「テメェがガキなんてこさえるから俺の人生狂っちまっただろうが!」
「人生滅茶苦茶になったのは私よ! アンタが金持ちだっていうから許したのに! この噓つき野郎!」
「う、うるせぇ! キャバ嬢のテメェに稼ぐ大変さが分かるかよ!」
今日も元気ですねぇ。あれが、私の両親です。
香ばしい匂いがプンプンしますね!
今の私の年齢はたぶん0歳か1歳。
見た目はプリティな赤ちゃんですが、実は中身は
前世、道を歩いていたらパァーンしてボォーンってなってポックリ逝きました。
うーん、痛かった!
今は元気な女の子に生まれ変われて超ハッピー!
「はっひー!」
まだ上手く声は出ませんね。
あー、早く喋れるようになって、パパとママとお話しできるようになりたいなぁ。
だって、この人たち幾ら泣いてもオムツを変えてくれないんだもの……。
今も私のオムツの中が尿でパンパンなんだけど――。
「だあああああああ! ぎゃあああああああああ!」
「「うるっせぇぞクソガキ!」」
わぁ、息ピッタリ。お似合いカップルだね!
――――いやホント、お似合いのクソカップルだわ……。
そんなわけで、私の第二の人生は前途多難そうだ。
◇
酒の空き缶に怪しげな白い粉の入った袋、床中に取っ散らかったゴミを見て溜息を吐く。
凡そ人の住む場所ではない惨状だが、信じられないことにここは三人の親子が暮らすれっきとした住居。
というか、私の家だ。
私の名前は如月ハズレ。
どんな心境で子供に『ハズレ』なんて名前を付けたのか、エキセントリックな両親の考えは知る所ではない。
15年前、何の因果か現代日本へのTS転生なんてファンタジーみたいな経験をした。
しかし、私を待っていたのはキラキラした第二の人生ではない。
前世では知ることもなかった社会の底辺もド底辺。
今以って社会の屑を体現したかのような両親の元に生まれた私は、物心つく年齢には家事の大半を任されていた。
いや、任されていたというか、私がやらないと家が一生汚くなる一方だったのだ。
普通の人間なら教えられてもいない言葉を話し、自発的に家事を熟す幼児など気味悪がるところだろう。
しかし、アホすぎる両親は何の疑問も持たず好都合とばかりに私に全てを押し付けた。
そのおかげか、虐待で幼少期の内に死ぬんじゃないかと思っていたが、奇跡的に今まで生き残れている。
クソみたいな両親の元で生活をする中で、どこか外部へ助けを求めることを考えたこともあるが、一度交番へ駆け込んだ際は悪戯と断定された挙句に両親の元に送り返された。
当然、警官が居なくなったあとは数週間腫れが引かない程に殴り飛ばされる。世知辛い話だね!
流石に、あれで外部へ救援を求める気は失せた。
でも、別にいいんだ!
今日は中学校の卒業日。長かった義務教育が完了した。
家庭の問題で高校は行けないが、中卒の低学歴でも何とか生きるだけの金を稼げる仕事はあるはずだ。
これでようやく、私は親の呪縛から解き放たれ、独り立ちすることができる。
――――そう思っていた。
『お客さんが来たら、私たちの代わりにお金を払ってあげてください。 パパ・ママより』
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます