キース狙われる

 ここは、とある大陸の国にある町。その近くにある森の奥に建っている【デススカルアサシン】のアジトである。

 まだ学はこの部屋で仲間と話をしていた。


「来たみたいだな」

「学、本当に外に出るの?」

「ああ……章歌、当たり前だ。こんな時じゃなきゃ、いい素材を手に入れることなんかできない」


 そう言い学は、ニヤリと笑みを浮かべる。


「そうですね。それでは、そろそろ行きましょう」

「鉄矢、嬉しそうだな」

「勿論ですよ。透は嫌なのですか?」


 そう鉄矢に問われ透は首を横に振る。


「そんな訳あるか。思いっきり力を振るえる……こんな機会は滅多にない。ああ、そうだ……俺だって嬉しい」

「本当ねぇ。早く行きましょうよ」

「甘美、そう慌てるな。それと分かってると思うが……暗黒の使者以外を攻撃する」


 そう学が言うと四人は頷いた。

 その後五人は屋敷を出て外へと向かう。



 ――場所はバルルゼア草原に移る――


 幸はキースと共に人型へと向かいながら異形を倒していた。


(キリがない。これって人型が異空間から呼び寄せてるのか? だとしたら早く人型を倒さないとまずい)


 そう思いながら幸はバトルアックスで異形たちを薙ぎ払っていく。


「クッ……キツいな。コウ、大丈夫か?」

「なんとか、と云いたいですが……ハァハァ……流石に疲れてきたみたいです」

「そうか、オレも疲れてきた。だが手を抜く訳にいかない」


 そう言いキースは襲って来た異形を思いっきり殴り倒し消滅させる。強化してるとしても恐ろしいパワーだ。


「そうですね。少しでも手を抜くと異形の餌食になる」

「そういう事だ」


 そう言われ幸は、コクッと頷いた。

 その後も幸とキースは異形を倒しながら少しずつ人型へと近づいていく。


 ◆◇◆◇◆◇


「オモシロイ、ヨソウヨリハヤク……コッチニムカッテキテイル。コレハ、カラダヲノットルヨリモ……ナカマニヒキイレタホウガイイカ?」


 そう言い人型は幸を、ジーっとみつめている。


「イッショニイルヤツハ、ヒツヨウナイ……ジャマダ」


 人型はそう言い片手をキースへと向けた。


「キエロッ!!」


 そう言い放つと向けた手の前に魔法陣が展開される。


 ◆◇◆◇◆◇


 幸は人型をみながら異形を倒していた。そのため人型が自分以外の誰かを狙っていることに気づく。


「まさか!?」


 そう思い人型がどこに向けて手を翳しているのか辿った。


「キースさん、人型が狙ってるっ!!」


 それを聞きキースは異形を倒したあと人型へ目線を向ける。


「なんでオレを? クソッ……身動きが取れん」


 そうキースが言ったと同時に人型は翳した手の前に現れている魔法陣から光線を放った。

 幸の体は咄嗟に動き異形に目もくれずキースへ駆け寄る。


「伏せてくださいっ!」


 そう言いながら幸は即座にキースの前に立ちバトルアックスを構えた。と同時にハンマー投げの要領でバトルアックスを振り回す。

 そして手を離し光線に向かいバトルアックスを飛ばした。

 そのバトルアックスは回転しながら軌道に乗ったかのように光線へ向かっている。


 ――バアァァアアアーンッ!――


 バトルアックスは光線へと見事に命中した。その影響で途轍もない音と周囲が激しく揺れる。そして、その周囲に居た異形はすべて消え去った。

 それをみた人型は悔しく思い顔を歪めている。


「ハァハァハァ……間に合った」


 そう言い幸は徐々に息を整えた。


「フゥー……幸、すまない」


 キースはそう言いながら立ち上がる。


「いえ、大丈夫です。それよりも怪我はないですか?」

「ああ、心配ない」

「それは良かったです。まだ動けますよね?」


 そう幸が問いかけるとキースは頷いた。


「オレは大丈夫だ。だが、コウ……武器はどうする?」

「投げた所にバトルアックスが落ちてるので」

「まさかバトルアックスがある所まで素手なんてことはないだろうな」


 そう言われ幸は、ニヤリと笑みを浮かべる。


「勿論、素手で倒すつもりです」

「ハァー……まあそれしかないか」


 そしてその後、二人は素手で異形を倒しながらバトルアックスがある方へと向かった。

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