誰が向かう?

 ここは波留とライゼルとキースが居る場所。

 波留は壁を創り出し異形を攻撃していった。


「……やっぱり強い。キースが強化してくれてなければ、ここまで戦えてなかっただろうな」


 そう言いながら波留は壁を、いくつも創り出して目の前の異形を囲んだ。それと同時に壁を一気に狭め異形を挟み潰した。


「それだけじゃないだろ。元々ハルは、こういう戦闘に向いている」


 キースはそう言い後ろで波留とライゼルの強化などをしている。


「どうだろう……幸に壁の使い方を教えてもらってなければ今のように攻撃に使ってなかった」

「それは、ただのアドバイスだ。それを理解して実行できたってことは元々それだけの能力があったんじゃないのか」

「そうだとしても……まだ俺は未熟だ。自分で気づけないんだからな」


 それを聞きキースは溜息をつき首を横に振った。


「誰だって普通は自分で気づけないもんだ。それに、それを分かっても実行しないのが大半だろう」

「……そういうものなのか?」

「ああ、そうだ。ハルは、もっと自信を持った方がいいぞ」


 そう言いキースは笑みを浮かべる。


「そうだな……キース、ありがとう。……!?」


 ハルはそう言いながら幸が居る方へ視線を向けたあと驚いた。


「幸はどこに向かってるんだ!?」

「ハル、多分……人型の方だと思うよ」


 そう言いながらライゼルは異形を魔法で攻撃する。


「まさかと思うが、あの人型を倒そうなんて考えてるんじゃないだろうな」

「キース……幸なら、そう考えてると思う」

「最悪だな。どうする? 援護に行った方がいいのか」


 そうキースに問われ波留は考えたあと二人を自分の近くにくるように言った。その後、自分たちの周囲を壁で覆い尽くす。


「これでいいか。こうしないと話せないからな」

「…………まあそうだな。それで、どうするつもりだ?」

「まさか……僕たちも行くんじゃないよね?」


 怯えた顔でライゼルはそう言い波留をみる。


「行くのは俺だけでいいと思う」

「いや、波留はライゼルとここに居た方がいいだろう」

「キース、どういう事だ?」


 そう言い波留は不思議に思い首を傾げた。


「コウは攻撃の方は大丈夫だ。今必要なのは強化とアドバイスのできる者……そうなるとオレしかいない」

「そうだろうけど……幸の所まで行くのに異形が邪魔してくるんじゃ?」

「それなら問題ない……自分を強化していくからな」


 キースはそう言い腕を曲げ力こぶをつくる。


「まさか素手で戦うつもりなのか?」

「ハル、勿論だ。以前も、そうやって異形を倒したからな」


 それを聞き波留とライゼルは、ゾッとし顔が青ざめた。


「なんだ? その顔は……別に変じゃないだろ」

「変じゃないけど……異形を素手で倒せるのって、恐らく幸とキースぐらいだろうな」

「そうだろうか……まあいいか。それよりも急ごう」


 そう言われ波留とライゼルは頷きキースを真剣な表情でみる。

 そのあと波留は周囲の壁を消した。


「キース、幸のこと……お願いします」

「ああ、どこまでサポートできるか分からない。だが、やれるだけのことをしてくる」


 そうキースは言い自分を強化すると幸の方へと向かい駆けだす。

 それを確認すると波留は再び壁を創り向かいくる異形を倒していった。

 片やライゼルも再び異形を魔法で攻撃する。

 そして、その後も二人は連携しながら異形を倒していったのだった。

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