人型の暗黒の使者
幸はバトルアックスを振り暗黒の使者を斬っていった。その近くにいた暗黒の使者は風圧により吹き飛ばされる。
それをみて周囲の者は怯え幸から遠ざかった。……まあそうなるだろう。誰だって巻き込まれたくないからね。
達基もそれをみて顔が青ざめていた。
(……半端なさすぎだ。バグのせいとはいえ……一振りしただけで、こんなにも威力があるなんて)
そう思いながら達基は大剣を振り目の前の暗黒の使者と戦っている。だが中々倒せない。それほどまでに暗黒の使者は強いという事だ。
という事は幸は、それだけ強いのである。……恐ろしやバグ効果。
少し離れた場所で宙に浮き幸たちをみている暗黒の使者がいる。それは明らかに他の暗黒の使者と違い人型に近い姿だ。
「……ツヨイモノガ、イルヨウダ。コレハ、ヨテイガイ……ダガアノカラダヲ……テニイレタイ。ソウスレバ、ワレワレハサラニツヨクナレル」
そう言い人型の暗黒の使者は幸を食い入るようにみた。
この人型の暗黒の使者は……いや、暗黒の使者そのものが強い体を乗っ取り生存している。という事は、この人型の暗黒の使者の姿って誰かの体を乗っ取ったのだろう。
因みにこの人型の暗黒の使者は各地にも降り立っていた。
「……なんだ? あの人型のヤツって」
そう幸が言うと達基はその声を聞き人型の暗黒の使者をみる。
「クッ……幸、気をつけろ! みてるアイツは、お前を狙ってる」
「どういう事だ?」
不思議に思い幸は目の前の暗黒の使者を全て吹き飛ばしたあと達基へ視線を向けた。
「人型は知能がある。それだけじゃない……元は、この世界の者か転移者のどっちかの体を乗っ取って強くなっている」
「……それって人型に限ってか?」
「いや、異形の方もだ。恐らくだけど、人型も元は異形だったのかもしれない」
それを聞き幸は、ゾッとする。
「寄生なのか? それとも憑依?」
「寄生かもしれないが断言はできない」
「そうか……それは誰にでもなのか?」
そう幸が問いかけると達基は首を横に振った。
「聞いた話だが……強い者にだけらしい」
「なるほど……ん? じゃあ俺をみていたのって、どういう事だ」
「多分、幸のことを強いと思ったんだろうな」
そう言い達基は人型の暗黒の使者をみる。
「俺が強い? ただバグっているだけだけどな」
「ああ、バグのせいだろうが……強いには変わりない」
「じゃあ俺はアイツと、やり合ってくる」
それを聞き達基は驚き幸の方へ駆けだした。そして腕を掴み人型の暗黒の使者の方へ行こうとするのを止めようとする。だが、引きずられていた。
「ま、待て……幸。早まるな……」
「いや、待たない。遅かれ早かれ……あの人型は俺を狙ってくる」
「そうかもしれない。だが、どんな能力を持っているか分からないのに無茶だ」
そう言われるも幸は首を横に振り腕にしがみつく達基の手を引き剥がす。
その後、幸は達基の方を振り向かないまま人型の暗黒の使者の方へと向かった。
達基は幸を追いかけようとしたが異形の暗黒の使者に阻まれる。そのため追いかけられず異形の暗黒の使者と戦った。
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