あり得ない武器と嫉妬

 ここは逹基が創った城。この中には避難してきた者たちが至る所にいる。

 あれから幸は逹基たちと話をしていた。そこに波留とキースがくる。

 その数分後にミクセアとミフェナとコリュカとライゼルがきた。

 因みに達基に聞いた話を幸はミクセア達に説明をする。


 そして現在、幸はミクセア達を交えて話し合っていた。


「じゃあ……下手をすれば親友と戦うことになるかもしれないんだな」

「波留、そうなる。そのことが本当なら俺が止めないと」

「無理はしないで……」


 いつになくつらい表情をみせる幸に対して、ミクセアは心配をする。いや、周囲の者も心配していた。


「そうだな……できるだけそうする。それはそうと……ミフェナ、俺の武器は持って来てくれたか?」

「うん、持ってきたよ」


 そう言いミフェナはバッグからカードを取り出し幸に渡す。

 それを受け取ると幸は目の前にカードを翳した。


「いでよ! バトルアックス!!」


 するとカードは発光し魔法陣が展開される。そこからバトルアックスが現れたと同時に、ドスンッと床に落ちた。


「……」


 幸もそうだが、その様子をみていた者は全て絶句している。

 そう幸は床を軽く破壊してしまったためだ。

 ミクセアと星奈と波留とミフェナとコリュカとライゼルとキースは、もっと下に向けて召喚すればいいのにと呆れていたからである。

 それ以外の他の者は、そのバトルアックスの大きさに驚いていたのだ。


「幸……まさか、これがお前の武器なのか?」


 顔を引きつらせ達基はそう問いかける。


「ああ、そうだが……そんなに驚くことか?」

「そんな重そうな武器を……いや、今の幸なら簡単に振り回せるか」

「……これもバグのせいだったのか。だとすると……ザルべドルの町で既にバグっていたことになるな」


 そう言いながら幸はバトルアックスを持ち背中に装備した。


「凄いわぁ……町で助けてもらった時も強いと思ったけれど」


 マルネはそう言い幸の腕を両手で掴んだ。

 それをみたミクセアと星奈とミフェナとコリュカは自分もと云わんばかりに幸の体にしがみついた。

 その様子をみて男性陣は嫉妬の眼差しを向ける。


「相変わらず幸はモテるな」

「達基……俺が、いつモテた?」

「まさか未だに、そのギャグかましてるのか?」


 そう言い達基は、ジト目で幸をみた。


「んー……モテた記憶がないんだが」

「一歩譲って……今の状況は、モテてるよな?」

「いや、からかってるだけだろ」


 それを聞き達基は頭を抱える。


「マジかよ……相変わらず超鈍感すぎる。ハァー、まあいいか……」

「なんか刺のある言い方だな」

「言っても日が暮れる。それに言い合いをしている場合じゃない」


 そう達基に言われ幸は、コクッと頷いた。


「確かにそうだ。暗黒の使者と戦うんだからな」

「ああ、コッチにくるのも時間の問題だろう。その間、準備を整えたら持ち場についていた方がいい」


 達基にそう言われ幸たち十二人は分かったと言い準備を始める。

 そしてその後、幸はミクセアと星奈とミフェナとコリュカと波留とライゼルとキースと共に別室へと向かった。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る