【デススカルアサシン】

 ここは、とある大陸の国にある町。その近くにある森の奥に建っている古ぼけた屋敷だ。

 この屋敷は【デススカルアサシン】のアジトである。

 そしてこの屋敷の一室では、まだ五人が話をしていた。


「いよいよですね」


 そう言い後ろで髪を軽く縛っている男性は、ワクワクしている。


 この男性は刺野とげの鉄矢てつや、二十歳。

 能力は【鉄の刺】と云い鉄の鋭い刺を具現化して攻撃することができるのだ。サブスキルが【増加】で名前の通り、なんでも増やすことができる。


「ああ……どれだけの転移者が減るのかしら。フフッ……楽しみだわぁ」


 ツイン三つ編みで輪っかのように縛っている女性は、ウットリしながらそう言った。


 この女性は飴田あめだ甘美あまみ、二十一歳。

 能力は【飴細工】で名前の通り考えたものを飴細工として具現化する。サブスキルが【スロー】と云い、まあ名前の通りなので説明をしないでも大丈夫だろう。


「さて、俺たちは高みの見物と行くか」


 如何にも体育会系のような体格の男性はそう言い窓の外へ視線を向けた。


 この男性は玉沢たまさわとおる、二十三歳。

 能力は【たま生成】で大小様々なタマを具現化できる。サブスキルが【透明】と云い、これも名前の通りだ。


「アタシはぁ……絶対にぃ、戦いたくないからね」


 そう言い派手な衣装を着た女性は、眼前の椅子に座っている男性をみた。


 この女性は華影かかげ章歌しょうか、十八歳。

 能力は【騒音】で普通に歌うだけで周囲が気絶……いや、死に至るレベルだ。サブスキルが【影渡り】と云い、どんな影にでも入り移動できる。


「フッ……俺たちは強くなった。いや、俺自身も一年前なんか比べものにならないくらい強くなっている」


 この男性が成生学だ。勿論、十八歳である。

 見た目は、どちらかと云えば眼鏡をかけた好青年だ。

 能力は【学習生成】でサブスキルが【心読み】と云い、名前の通り心を読める。


「ここに幸が居なくてよかった。恐らく、俺のしようとしてることを止めただろうからな」

「ねぇ、偶に聞くコウって……どんなヤツなの?」

「甘美……幸は誰にでも優しくて強い。能力がなければ……俺は幸に負ける。まあ、能力がなければ達基にも負けるけどな」


 そう言い学は足元に置いておいた箱を蹴った。


「でも今は誰よりも強い」

「そうだな……鉄矢。さて、そろそろくる頃かな?」

「学……暗黒の使者が来たら歌うね!」


 章歌がそう言うと四人は、ブンブンっと首を何度も振る。


「章歌の歌は、別の機会にした方がいい……。そうだよな、学」

「ああ……透の言う通りだ。章歌、君の歌は広い場所で披露した方がいい」

「そっかぁ……残念だけど、そうだね」


 そう言い章歌は、ニコッと笑った。


「それはそうと……今回、暗黒の使者は長く居ないんですよね?」

「前回もだが……偵察と狩りが目的だからな」


 学はそう言うと窓へと視線を向ける。

 そして五人は、その後も話をしていたのだった。

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