第三章
暗雲と光明
ここは能力ナシの会場に設置されている観覧席。
あれから幸は達基とミクセア達が待つここに来ていた。
そして達基にミクセア達のことを紹介する。
そうこう話しているところへキースがきた。
そして現在、幸たちは話をしている。
「達基、俺のことから話した方がいいか?」
「そうだな……それからの方が話しやすい」
そう言われ幸はこの世界に来た経緯と、ここまで何があったのかを詳しく説明した。
「……さっきも聞いたが。女神がギフトを渡し忘れた、か……普通ならあり得ない。そんで……鍛えてたらバグったねえ」
「そういう事だ……意味わからないよな」
「ああ、そうだな。それも……鍛え方次第で強力な能力を得られる。とんでもなく……チート過ぎるじゃないかよ」
達基はそう言い、なぜか泣きそうになっている。
「なんで泣く必要がある?」
「そうなったら……余計に勝てなくなるだろっ!」
「……それは分からないんじゃないか? 能力次第だと思うしな」
そう幸が言うと達基は、ハァーっと溜息をついた。
「まあ、いいか。それよりも話さないとな……俺の知ってる限りのことを……って!?」
達基は異様な空気に気づき空を見上げる。
「達基、どうした?」
そう言い幸も空を見上げ絶句した。
そう、いつの間にか空には暗雲が立ち込めていたのである。それだけではなく黒に近い赤紫色に空が染まっていた。まるでダークなイメージである。
「まさか……暗黒界の使者ギオングの民か!?」
それを聞きミクセア達は青ざめた。
「達基……それは、どういう事だ? それに、この異様な空気と……空も異常だ!」
「ヤツラがきた……暗黒魔王の使者たちが」
達基は身を震わせ幸へ視線を向ける。
「とうとう来たか。懸念はしていたが……よりにも寄って、こんな時にな」
「波留、暗黒界の使者って……前に言ってたヤツラのことか?」
「ああ……そうだ。なんで今なんだよ。最悪すぎるじゃないか」
そう言い波留は俯き身を震わしていた。
「そうか……空を見る限りだと、ここだけじゃなさそうだな」
「そうなる。この世界全域に暗黒界の使者が召喚されてくるんだ。って云うか幸? やけに冷静だな」
「星奈……そうみえるか? ならそうなんだろう。それに……こんな時に怖気づいてたら命がいくつあっても足りない。自分の身は自分で守れるようじゃないとな」
それを聞きミクセアと星奈とミフェナとコリュカは、ウットリとしている。
因みに達基と波留とライゼルとキースは、なるほどと納得した。
「確かに幸の言う通りだ。ヤツラがくるまで時間は、まだある」
「達基、それじゃ……戦えない者を先に避難させないとな」
「そうだな。俺の能力はキャッスルで、サブスキルが鍵だ。それで砦を創ろうと思う」
そう言い達基は広い草原を指差す。
「それはいい能力だ。そうだな……波留の壁は、ガードや攻撃以外にも使えるか?」
「普通の壁として、いくつも創れる……だが弱い。ただ強化できれば敵の攻撃を防げるけどな」
「それならオレのサブスキルで強化すればいい」
そうキースから聞き幸たちは光明がみえてきた。そして暗くなりかけていた気持ちが前向きになる。
「じゃあ、みんなで手分けしてやろう」
そう幸が言うとミクセア達は頷いた。
その後、自分たちがやれることを確認する。
そして確認を終えると幸たちは各自の持ち場へと向かったのだった。
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