弱点と疑問

 ここは町の闘技場。辺りには歓声が湧いていた。

 そう女性の部は既に決勝戦が行われようとしている。

 対戦するのは、ミフェナとコリュカだ。

 そうミクセアは二回戦で負けてしまっていた。

 そのためミクセアは観覧席にいる。


「残念ですわ。でも、これが今の私の実力なのですよね」


 そう言いミクセアは、ハァーっと溜息をついた。


 ◆◇◆◇◆◇


 ここはミフェナとコリュカが居る試合会場である。

 二人はお互い睨み合っていた。


「まさか、コリュカと戦うことになるとわね」

「そうね……でも……負け……ない……から、ね」

「私だって負けないよ!」


 そうこう言い合っていると審判が開始と叫んだ。

 それを聞きコリュカは、目の前で手を組み詠唱をし始める。

 ミフェナはそれをみて、まずいと思いカードを取り出した。


「いでよ、油揚げ皮揚げ!!」


 そう叫ぶとミフェナは、そのカードをコリュカに投げつける。


「ハッ! まずい……です」


 そう言いコリュカは、詠唱をやめ目を閉じ鼻を塞いだ。

 そうコリュカの大好物だからである。

 ミフェナはそれを視認するとカードを取り出した。


「いでよ、檻っ!!」


 そう叫びコリュカに目掛けカードを投げる。

 それを聞きコリュカは目を開けてしまった。そのため目の前に落ちてくる皮揚げに跳びついてしまう。それと同時に、檻が現れコリュカへと落下する。

 皮揚げを口に加えながらコリュカは、出ようと思い檻に触った。


「キャアァァアアアー……」


 すると電気がコリュカの全身に流れる。そのあと口から煙を吐き、パタンと地面に倒れた。

 審判は戦闘不能かを確認すると、ミフェナの勝ちを告げる。

 それを聞きミフェナは、コリュカのそばに向かった。そして別のカードに檻を封印する。その後、二枚のカードを回収した。


「コリュカって、ホント単純なんだよなぁ」


 そう言いミフェナは、コリュカを覗きみる。


「気絶してるけど、大丈夫だね」


 ミフェナはそう言うと、この場を離れ控室へと向かった。

 そのあとコリュカは、救護室に運ばれる。



 ――場所は変わり、バルルゼア草原――


 ここは能力ナシの会場だ。

 あれから幸は巻物便箋をリュックに入れると、元いた席に戻ってくる。


 そして幸は現在、キースと話をしながら試合をみていた。


「なんか人が減ったような気がする」

「ああ、減ったな」

「何かあったんですか?」


 そう聞かれキースは、呆れた表情を浮かべる。


「恐らく、コウとやり合いたくない者が棄権したんだろう」

「なるほど……って、もしかして……さっきのが原因ですか?」

「もしかしなくても、そうだろうな」


 そう言われ幸は苦笑した。


「じゃあ、対戦表をみてきた方がいいか」

「その方がいいかもしれん」


 キースはそう言い立ち上がる。


「キースさんも行くんですか?」

「ああ、勿論だ。流石に気になるからな」


 そう言いキースは歩き出した。

 それを幸が追いかける。

 そして達基は、その様子を遠くからみていたのだった。

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