波留VS星奈

 ここはバルルゼア草原に設置された能力アリの会場。

 ここには波留と星奈がいた。

 この会場には二十六人もの参加者がいる。……どんだけ転移者が居るのだろうか。

 順番は波留が十の五番目で星奈が九の十七番目だ。


 そして現在、なぜか波留と星奈が対戦場に立っていた。

 そうコッチの試合は、人数のわりに進行が早かったのである。

 そんな中、波留と星奈は勝ち残っていった。


「波留、よく勝ち残れたな」

「それは、コッチの台詞だ。手は抜かないからな」

「勿論、そうしてくれると……嬉しいよ。ボクも、その気はないからね」


 そう言い星奈は、ニヤリと笑みを浮かべ身構える。

 それをみた波留は、ムッとした。その後、身構え直す。

 そうこうしていると開始と合図される。

 それを聞き二人は動いた。

 星奈は玩具の宝石を取り出すと、即座に投げる。

 それをみて波留は、すかさず二つの壁の盾を創り持った。


 《妄想生成-≫幻獣!!》――「いでよ! 宝石魔獣!!」


 星奈がそう言い放つと玩具の宝石は、ピカッと眩く発光する。

 すると玩具の宝石は、大きくなっていった。その大きさは、約一メートルである。……まあ、星奈よりも小さいんだけどね。


「宝石魔獣……それも、小ぶりの熊擬きか」


 そう言うも波留は、警戒している。そのため、三個の別の壁を創り出し宙に浮かした。


「そう言ってるわりには、壁を増やしたじゃない」

「用心のためだ。それよりも、その熊擬き動く様子ないけど……大丈夫なのか?」

「フフッ……大丈夫、ちゃんと動くよ。今は、大人しくしてるだけだから」


 それを聞き波留は、不思議に思い悩んだ。


(なんで、動かないんだ。それとも、俺が動くのを待ってるのか? どうする……そうだなぁ、囮を飛ばすか)


 そう考えがまとまると波留は、宙に浮いている壁を熊型の宝石魔獣へ飛ばした。

 それに反応し熊型の宝石魔獣は、真っ赤に目を光らせる。


 ――ガオォォオオオー……――


 するとそう雄叫びを周囲に轟かせながら、口から真っ赤な光線を放った。

 その光線は波留が放った壁にあたり破壊する。

 だが波留は、既に次々と壁を創り出していた。その壁は、熊型の宝石魔獣へと向かいあたっていく。

 熊型の宝石魔獣は、ドカドカと暴れながら無数の壁を破壊する。


(クッ……能力を使ってる暇がない。ってことは、これしかないか)


 そう思い星奈は、即座に一枚のカードを波留へ目掛け翳した。


「いでよ、ジェルスラキングっ!!」


 そう言い放つとカードが、ピカッと発光する。


「まずいっ!?」


 波留はそれに気づき壁を創ろうとした。

 だが時既に遅し……。

 波留の頭上には既に魔法陣ができており、そこからジェルスラキングが落下してくる。


「ウギャアァー!!」


 壁創りが間に合わず波留は、ジェルスラキングに押しつぶされた。

 それをみた審判は、戦闘不能とみなして星奈の勝ちと言い放った。

 それを聞き星奈は嬉しさのあまり、ヤッターと飛び跳ねる。

 片や波留は気絶していないものの、ジェルスラキングの重みで動けず苦しい表情を浮かべていた。

 その後、星奈はジェルスラキングをカードに戻す。

 ジェルスラキングが居なくなり波留は、やっと起きあがることができ安堵する。

 そしてその後、波留と星奈は観覧席に向かったのだった。

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