大会開始と意外な勝利
ここはバルルゼア草原の武道大会が行われる会場。そして能力ナシの試合が行われる会場だ。
しばらく幸は、キースと話をしていた。すると開催の合図の火球が打ち上げられる。
「いよいよだな。コウ、お互い良い試合をしよう」
「はい、そして……できれば最後に戦いたいです」
「そうだな……。ん? 正式なトーナメント表が貼られたようだ」
そう言いキースは、トーナメント表をみに立札の方に向かった。そのあとを幸が追う。
「ほう、上手くいけばコウとは最後にあたる」
「ですね……ですが、俺がそこまで勝ち進めるか不安です」
「まあ、オレだってどこまで勝ち上がれるか分からん。まあ、対戦できなかったら……それはそれでいいんじゃないのか」
そうキースは言うと、ニカッと笑った。
「確かに、そう思った方が肩の力が抜けますね」
「ああ、そういう事だ。さて、順番がくるまで体をほぐしておくか」
「俺も、ストレッチでもしておくかな」
そう言い幸は、キースと共に順番がくるまでストレッチをする。
◆◇◆◇◆◇
ここは倉庫の地下。
達基は机上に足をのせ大きな紙をみていた。
それは能力ナシの方のトーナメント表だ。
(確か幸かもしれないヤツは、四だったな……トーナメント表だと七番か。俺は最後に勝者とやる……だが、対戦できるか分からない。それでも……)
そう思い目を閉じる。
(可能性に賭けるしかないよな)
そう考えると瞼を開いた。
その後、バルルゼア草原に行くための準備を始める。
◆◇◆◇◆◇
各会場では、試合が始まっていた。
町の闘技場では、人数の少ない女性の部門から開始している。
因みに女性部門の出場者は八人だ。
ミクセアは3でトーナメント表だと二番である。
そして現在ミクセアは、町で購入したステッキを持ち構えていた。その後、目の前の対戦相手を見据える。
対戦相手は、オレンジ色でパーマがかっている長い髪の戦士だ。
(両手剣……女性では珍しいですわ。本に大剣のような両手剣は、主に男性が所持するって書いてありました。……そうですね、間合いを詰められないように気をつけましょう)
そう思いながら開始の合図を待っていた。……相変わらず知識だけはあるようである。
「フンッ、お嬢様魔導師か……これなら楽勝だ」
そう言いオレンジ色の髪の女戦士は、ミクセアをあざ笑った。
「やってみなければ分かりませんわよね……その人の強さなんて」
「はぁ? 何を言ってるんだ……フッ、まあいいや」
女戦士は大剣を身構える。
すると開始の合図が告げられた。
それと同時に女剣士は、大剣を横に構えながらミクセアに突進する。
(動きが雑だわ)
そう思いミクセアは、横に跳んだ。その後、即座にステッキを女戦士に向ける。
《風巻撃!!》
そう唱えるとステッキの先端が発光し魔法陣が現れた。その魔法陣から風が渦を巻き現れる。
その渦巻く風は女戦士へと放たれて、大きくなりながら向かう。
女戦士はそれに気づき体勢を立て直そうとする。だが間に合わず、その渦巻く風に足をとられ尻餅をついた。
それをみたミクセアは即座にステッキを女戦士に向ける。
《火球連射!!》
そう唱えた。するとステッキの先端が光って魔法陣が現れる。その魔法陣から次々と火球が現れて放たれた。
それに気づくも女戦士は、逃げる暇もなく大量の火球を浴びる。そして動けなくなり地面に、バタンっと倒れ込んだ。
それをみた審判……ドガマヌべは「勝者三番!」と告げた。
それを聞いた観客は、歓声を上げている。
(えっと……勝ったのよね?)
そう思いながらミクセアは控室に向かった。
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