犬猿の仲と幼馴染

 ここは町の闘技場。

 次はコリュカの番だ。因みにコリュカは5で四番である。

 現在コリュカは、ニコニコしながら目の前の弓使いのエルフをみていた。


「お久……ですね……セリアンナ。お元気……でし……たか?」

「クッ……相変わらずトロイ話し方ね。あーイライラする!」


 そう言いセリアンナは、弓を構えコリュカを睨んでいる。


 この弓使いのエルフはセリアンナ・メロルサ、年齢不詳。ミフェナの幼馴染だ。


「そう……なのね。私は……平気よ」

「お前が平気でもな……アタシが嫌なんだよ!」

「あらぁ……ごめん……なさいね。でも……流石に……キレた……かも」


 そう言うとコリュカの顔が一変して、ムッとした表情になっていた。


「ふ~ん……それでキレてるんだ。そうはみえないんだけど……あーそうか、元々トロイもんなぁ」


 そう言いセリアンナはコリュカをあざ笑っている。


「そんな……こと……ないもん! いいわ……セリアンナを……倒して……謝って……もらうん……だから」

「できるもんなら、やってみなよ。あーそういえば、ミフェナはまだ一緒に居るのか?」

「話を……すり替え……た。んー……まあ……いいや……ええ……ここに……居るわ」


 それを聞きセリアンナは、観客席を見回した。


「観客席か?」

「いいえ……試合に……出ますよ」

「そうなると、勝ち進まないと対戦できない。ってことで、コリュカ負けてくれる?」


 そう言われコリュカは、ムッとする。


「さっきから……ムカ……つく。その……口を……塞いで……あげる!」

「ククッ……無理無理……」


 セリアンナはそう言いながら腹を抱え笑った。

 それをみてコリュカは、更に怒っている。

 そして開始の合図がされるまでコリュカは、セリアンナにからかわれていた。


 ◆◇◆◇◆◇


 ここは女性用の控室。

 星奈とミフェナとミクセアは、控室の窓から試合をみている。


「まさか、セリアンナがこの試合に出てるなんてな」

「星奈……コリュカとセリアンナの対戦って、何もないといいけど」

「うん、それにセリアンナがコリュカに何か言ってるみたいだ」


 そう言い二人の顔は青ざめていた。


「二人共、コリュカの対戦相手のこと知っているの?」

「ミクセア……うん、私の幼馴染なんだ」

「あら、ミフェナの幼馴染なのね。ですが、なんでコリュカと戦うと心配なのかしら?」


 そうミクセアは言い小首を傾げる。


「あの二人は、凄く相性が悪い。それにセリアンナがコリュカを怒らせていたら最悪なんだ」


 ミフェナはそう言うと、ゾッとし身震いした。


「それって……会場が吹っ飛ぶとか?」

「ううん、そこまではないけど……近いことは起きるかも」


 そう言い星奈は想像してしまい、ブルッと体を震わせる。

 それを聞きミクセアは、不安になりコリュカをみていた。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る