待機時間
幸たちは六日後のために準備や作戦などを決めた。
そして各々色々な思いを胸に六日後を待ったのである。
――……六日後。
ここはバルルゼア草原に武術大会のため簡単に造られた場所だ。
会場にはチラホラと集まって来ている。
流石に能力を使わない方には、腕に自信がある者しか集まって来ていなかった。
という事は、能力アリの方に多数の転移者が集まっている訳である。
星奈と波留は、能力アリの方に出場することにした。
バルベアの町にある格闘場で行われる武術大会には、ミクセアとコリュカとミフェナとライゼルが出場する。
そして幸は現在、サングラスとマスクを装着し受付に並んでいた。
(名前を書けば、バレるだろうが。まあ気休め程度ってことでいいよな)
そう思いながら受付に名前を書こうとする。
(ほう……漢字で書かなくてもいいのか)
幸はカタカナで名前を書いていった。
その後、番号が書かれた腕に巻く布をもらう。
(4か、嫌な数字だ。まあ逆に考えればいいか……)
そう考え幸は能力ナシの会場へと向かう。
◆◇◆◇◆◇
ここはバルベアの町の中にある闘技場。と言っても然程大きくはなく、娯楽施設のようなものだ。
ここにはミクセアとコリュカとミフェナとライゼルがいる。
四人は受付を済ませると、始まるまで控室で待機していた。
因みに控室は、男女別になっている。
女性の控室には、ミクセアとコリュカとミフェナが待機していた。
そしてここには、数名の女性がいる。……女性で参加する者は少ないらしい。
「いよいよね。対人戦は初めてなので楽しみだわ」
「ミクセア、無理に出なくてもいいんだぞ」
「そう……よね……怪我したら……大変よ」
そう言われミクセアは、ニコリと笑みを浮かべる。
「いいえ、大丈夫ですわ。心配してくれるのは、ありがたいのですけれど。私は、コウのサポートをしなければいけない。それなのに弱くては駄目なのです」
ミクセアはそう言い、真剣な表情で二人を見据えた。
「確かにな。私も、今のままじゃ……足を引っ張るだけじゃすまない。コウを護ることもできないよな」
「ええ……コウは……能力……ないのに……無茶……するわ。多分……能力者……相手……でも……同じだと……思うの」
「そうなのよね。なんだかんだ悩んでも、最終的には自分の力でやろうとする」
そうミクセアが言うと二人は頷く。
その後も三人は、幸の話で盛り上がっていた。
◆◇◆◇◆◇
ここは男性用の控室。
ここには数十人の者たちがいる。
勿論ライゼルもここにいた。
(……みんな強そうだなぁ。流れとはいえ、なんで僕まで出ることになっちゃったのかなぁ……帰りたいよう。ハル……助けて~)
そう心で叫びライゼルは、壁の方を向き泣いている。
◆◇◆◇◆◇
ここはバルルゼア草原の能力アリの武術大会の会場。
意外にも転移者は多いらしく、数十人もの能力者が集まっていた。
そしてここには、星奈と波留が待機している。
「波留、いよいよだな」
「ああ……能力アリの方だから気をつけないとな」
「うん、どんなスキル使ってくるかわからないしね」
そう言い星奈は、対戦する場所をみた。
「スキルだけじゃない。魔法や武器を扱うヤツもいるだろうからな」
「そうだな。ほぼなんでもアリみたいだし」
そうこう話しながら二人は、始まるのを待っている。
◆◇◆◇◆◇
ここはバルベアの町にある倉庫の地下だ。
達基は各会場から転送されてくる出場選手のリストが記載された紙をみていた。
(能力ナシの方に、間違いなく名前があった。でも、似た名前はいくらでもある。特に幸の名前は、ありふれてるからな。
……どうする。確認しに行くか? でも、ここを離れる訳にはいかない)
そう思いながら達基は、手に持っている書類を無造作に机上へ投げ置く。
「あぁぁあああー行きてぇーよぉ~!!」
そう言い天井を見上げる。
そして達基はその後、机上に顔を伏せていたのだった。
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