紙に書かれた内容

 ここはミルモフの宿屋。そして幸の部屋だ。

 あれから幸たち七人はここに集まる。


 そして現在、幸たちは武術大会の募集の紙をみていた。

 そう幸は七人分の募集の紙を持って来ていたのである。


「……武術大会か。でも、なんでこの町で開かれるんだ?」

「星奈、ここを読んでくれ。ある大会の予選って書いてある」

「そうなると……その大会に出れるぐらい強いヤツを探しているってことだな」


 そう波留が言うと幸は頷いた。


「ああ……それに、この主催者の名前とチーム名……」

「幸? つらそうだな。もしかして知ってるのか?」


 そう星奈に聞かれ幸は重い口を開く。


「知っている。ここに書かれている名前は、九錠達基タツキ・クジョウ。チーム名が、レッドスピアキング……」


 そう言い幸は深呼吸をしたあと、また話し始める。


「達基はチームの中で、一番仲の良かったヤツだ。それにこのレッドスピアキングは、達基のチームの名前……俺と知り合う前のな」

「ってことは、その達基が負けて幸のチームに入ったってことか?」

「いや、星奈……違う。デススカルアサシンは、達基が俺のために結成してくれたチームだ」


 幸はそう言うと、つらくなり俯いた。


「そうか……なんか、複雑だな」

「波留……そうだな。まさか、達基までこの世界に来ているとは思わなかった」

「ねぇ、そのタツキっていう人……私たちに協力してくれないかしら?」


 そうミクセアに聞かれ幸は考える。


「どうだろうな。今のアイツが、昔と変わっていなけっれば大丈夫だと思う。だが……現状どうなのか分からない」

「そうなのね……それは……そうとぉ……この……武術……大会に……出るの……かなぁ?」

「コリュカ、そのつもりだ。そのこともあって、みんなと相談したくって呼んだんだからな」


 そう言い幸は六人を順にみた。


「そうだな。ボクもその方がいいと思う。それに……なんでこんな武術大会を開催したのかも気になるし」

「俺も同じだ。それにこの武術大会は、飽くまで予選みたいだしな」

「ああ、波留……そういう事だ。それで俺は、ここに書いてある……転移者部門の能力を使わない方に出ようと思う」

「コウは、その方がいい。ただ、なんでこの部門って武器も魔法も禁止になっているんだ?」


 そう言いミフェナは、不思議に思い首を傾げる。


「確かに、どういう事だ? なんで転移者の部門を能力アリとナシに分ける必要が」

「コウ……もし能力があったとしたら、どっちに出る?」

「そうだなぁ……恐らく変わらず能力を使わない方に出る。……ちょっと待て! まさか、達基は俺がここに居ることを知ってるのか?」


 そう幸が言うとライゼルは、顎に指をあて考えた。


「それはどうだろう……それなら、なんらかの方法でコンタクトをとってくると思うよ」

「確かに、ライゼルの言う通りだ。だけど、これはどうみても俺の性格を知っていないと……」

「なあ、コウ。そういえば昨日、女の人を助けたよな?」


 そうミフェナに言われ幸は頷く。


「ああ、そうだな。だがそれと何か関係あるのか?」

「うん、多分だけど。もし助けた人が、そのタツキっていう人の知り合いだったら?」

「ミフェナ……そういう事か、確かにそれはあり得る。でも、顔はみられていないぞ」


 そう言い幸はミフェナをみる。


「だからじゃないかな。確証はないけど、可能性に賭けたってことだと思う」

「そうか……それならあり得る。まあいいか、そのことはあとで会ったら聞けばいい。それよりも、みんなはどうする?」


 そう幸が問うと六人は、勿論でると言う。

 そのあと幸たちは、自分の出る部門を決めていたのだった。

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