縫い人形と募集の紙

 ここはミルモフの宿屋にある幸の部屋だ。

 既に辺りは暗く、夜になっている。


 そして現在この部屋には、幸たち七人がいた。そう、明日の予定とかを話し合うためである。


「……明日の組み分けは、クジ引きで決めないか?」

「それがいいと思う……クジなら、私も知っているわ。みんなも、知っているわよね?」


 そうミクセアが聞くと頷いた。


「んー、今日はコリュカが三人だったから……星奈かミフェナだな」

「そうだけどさ。今日と同じ人と組んじゃったらどうする?」

「星奈、確かにそれはあり得るな。じゃあ、俺が選ぶか?」


 それを聞き六人は頷く。

 幸はそれを確認すると紙に書き出してみる。それを六人にみせた。


「なるほど……。星奈とミクセアと幸、コリュカとライゼル、そしてミフェナと俺か……まぁ悪くないな」


 そう波留が言うと幸は頷く。


「じゃあ、明日も自分たちが行っていない場所をみて歩く」

「それじゃあ、そろそろ自分の部屋に戻ろう」


 そう星奈に言われ幸以外の者たちは、自分たちの部屋へ行った。

 その後、幸は部屋の鍵をかける。


「これでいいか。ハァー……さて、軽くストレッチして寝るかな」


 そして幸は、しばらくストレッチをしながら考えていた。


 ◆◇◆◇◆◇


 ――……翌日。


 ここはお洒落な服や小物などを売る店だ。

 この店はお洒落な物ばかりでなく可愛い物も売っている。

 勿論、幸は可愛い物をみていた。


(こっちの世界にも、ぬいぐるみのような物があるのか。だが、流石にフィギュアはないな)


 そう思うと幸は苦笑する。


「コウ、縫い人形をみてるの?」

「あ、ああ……ミクセア。これって……そういう名前なんだな」

「ええ、もしかしてコウの世界にもあるのですか?」


 そう聞かれ幸は頷いた。


「俺の世界では、ぬいぐるみっていうんだけどな」


 そう言い幸は、ジェルスラの縫い人形を手にする。


「幸もジェルスラ好きなのか?」


 そう言いながら沢山のジェルスラのグッズを持ってきた。


「いや……そういう訳じゃない。ていうか星奈、それ全部買うのか?」

「うん、前に来た時になかった物があったからな」

「ってことは、前も買ったのか……」


 幸はそう言い、ハァーっと溜息をつく。


「幸は買わないのか?」

「見た限りここには、欲しいのがない」

「そうなのね。じゃあ、他に行きましょう」


 そうミクセアに言われ幸と星奈は頷いた。

 その後、星奈は購入するためカウンターに向かう。そのあとを幸とミクセアが追った。

 そして三人はカウンターまでくる。

 すると壁に貼ってある紙やカウンターの上に置かれた紙の束が、幸の視界に入ってきた。

 気になり幸は、カウンターに置かれている紙を持って読んでみる。


「……」


 その後、貼り紙の方もみた。


(これって……武術大会。それにこの主催者の名前とチーム名って……。ここに居るのか……まさか、昔のダチが……)


 そう思い幸は、複雑な気持ちになる。

 その後、そのことをミクセアと星奈に伝えた。

 星奈が購入し終えたあと、幸たちは店をでる。

 そして幸たち三人は、波留たち四人に連絡をしたあとミルモフの宿屋に戻った。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る