興奮する女たちと嫉妬する者

 ここはバルベアの町の武器屋や装備などを売る店。

 幸はカリスナとミフェナが持って来た服や鎧などを試着していた。


「あーえっと……こんなに持ってこられてもなぁ」


 そう言い幸は、テーブルの上にある服や鎧などをみて溜息をついている。


「全て身に着けなくてもいいと思います」

「そうそう、カリスナの言う通りだ。好きな物を選んで試着すればいいと思う」


 なぜか二人は意気投合していた。


「まぁそうだな……そうするか」


 そう言い幸は、テーブルの上に置かれている服や装備品などを手にする。そして、どれを着ようかと選び始めた。


「……どの服も、袖がないな……なんでだ?」

「それは勿論、き……暑い時のためです」

「うんうん、それにコウは袖のない服の方が似合うと思うしな」


 そう言われ幸は、首を傾げ考える。


「似合うかぁ。でも、袖がないと怪我するんじゃないのか?」

「あーそれなら、肘あてや籠手などでカバーすればいいと思いますよ」

「私もそう思う。それと、コウならそう簡単に怪我しないと思うし」


 ミフェナとカリスナはそう言い、ニコニコと笑っていた。


「怪我しない、って……まあいいか。それはいいとしても、ここにある服って……今着ているのを脱がないと無理だよな」

「そうですね。ですが、上半身ですし……ここで脱がれても問題ないかと」


 そうカリスナが言うとミフェナは、ウンウンと頷く。


「……なんか変な感じだが。それで構わないなら……脱ぐか」


 そう言い幸は下着を脱いだ。

 流石は鍛えているだけあり引き締まっていて、かなりの筋肉美である。と云っても、服を着ていても分かるような盛り上がった筋肉ではない。

 それだけ無駄な贅肉がない状態で筋肉がついているのだ。

 二人は幸の上半身の裸をみるなり、目を輝かせる。


(外からは、分かりませんでしたが……結構な筋肉。それに痩せているのに、ここまで筋肉をつけることができるなんて……凄いですわ)


 そう思いカリスナは、ウットリと幸の裸をみていた。


(おお……コウと一緒で良かった。まさか、こんなご褒美が待っているなんて……)


 ミフェナはそう考えながら、幸の体に触れそうに手をプルプルさせている。

 そんな光景をみるも幸は、気づかないフリをした。そして、手にしている服を着ようとする。


「コウ、待ってください!」


 ミクセアは店の中に入るなり、猛ダッシュで駆けて来て思いっきり幸の体に抱きついた。

 それに続けとコリュカも幸の腰に跳びつく。

 それをみたミフェナとカリスナは、遠慮気味に幸の体に触れる。

 一瞬何が起きたのか分からず幸は、呆然としていた。


「幸、随分といい身分だな」


 そう言い波留は、ジト目で幸たちの方へと歩いてくる。


「あ、うわぁぁぁぁぁぁぁー!!」


 波留の言葉で我に返った幸は、慌てて四人を自分から引き離す。

 そして幸は顔を赤らめ、この状況に対し困惑していた。

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