あみだくじと指令

 ここは二階のロビー。

 現在ここには、幸たち七人がテーブルを囲み話をしている。


 幸たちは一緒に食堂で朝食を済ませたあと、このロビーにきた。


 そして只今、幸たちは打ち合わせをしている。


「んー、固まって行動するのもなぁ」

「確かに幸の言う通りだな。そうなると……別れて行動した方がいい」

「星奈、どう分担するんだ?」


 そう波留に問われ六人は考え始めた。


「この町に詳しいのが、星奈とコリュカとミフェナか」


 そう言い幸は、六人を順にみる。


「ここには七人いる。そうなると、二人が二組で三人は一組だな」

「コウ、そうですけれど……どういう組み合わせにするのです?」

「それなら、あみだくじにしないか?」


 そう幸が言うと星奈と波留以外は、首を傾げた。

 そうあみだくじのことを、ミクセアとコリュカとミフェナとライゼルは知らないからである。


「そうか……ミクセアとコリュカとミフェナとライゼルは、コッチの世界の者だから……あみだくじを知らないんだな」

「それは、なんですの?」


 そうミクセアが問いかけると幸は、あみだくじについて説明しようとする。


「待って幸、ボクが説明するよ」

「星奈、そうだな……じゃあ頼む」


 そう幸が言うと星奈は頷いた。

 その後、星奈はあみだくじについて説明する。


「じゃあ、あみだくじを星奈とコリュカとミフェナで作ってくれ。その間、俺を含め四人は別の席で話をしている」


 それを聞き星奈とコリュカとミフェナは頷いた。

 それを確認すると幸とミクセアと波留とライゼルは、隣のテーブル席へと移る。

 それをみた星奈とコリュカとミフェナは、あみだくじを作り始めた。


 ◆◇◆◇◆◇


 ここはバルベアの町内の南西にある倉庫街。その奥には、廃墟化した大きな倉庫がある。

 その廃墟倉庫の中は、なぜか綺麗に掃除がされていた。……誰かが住みついているようである。

 そしてこの廃墟倉庫には地下室があった。その地下室には、六人の男女がいる。


「……ボスからの指令かよ。あの人は、ホントに気まぐれだよな」


 そう言い赤髪で長い髪の男は、社長が座るような椅子に座り机上に足を乗せている。


 この赤髪の男性は九錠くじょう達基たつき、十八歳。レッドスピアキングと云うチームのリーダーである。

 髪が赤いのは、染めているためだ。容姿は優しくみえる。しかし性格は、かなり見た目と反してキツメだ。


 それを聞いた白銀に青のメッシュが入った短髪の男性は、糸目を余計に細くし見据え達基の前に立っていた。


「フゥ―、僕もこんな伝令を持って来たくないのですよ」

「それなら、持ってくんな!!」

「いい加減にしてください! そもそもあなた達が、ボスの指示通りの成果をあげて頂けないから……こんな大会を開催することになったんじゃないですか」


 そう言い糸目の男は、そのようにみえないが怒っている。


 この糸目の男性はサギュブル・ハンゼ、十九歳。デススカルアサシンの幹部だ。

 サギュブルは主に各地を歩き支部に伝令をしている。


 その様子をみて達基は、ジト目でサギュブルをみた。


「フンッ、知るかよ。なんでアイツの下で、俺がいいように動かされなきゃならん!」

「タツキさん、そんなことがボスの耳にでも入ったら……」

「別に俺は、構わない……いや構うか。フゥー……この世界にあの人がいたら、こんなカッコいい言葉が聞けるんだろうな。どんなに真似ても、やっぱ俺には無理か」


 そう言い達基は、足を机上から降ろす。


「分かった……なるべく多く強者を募って、闘技場に向かわせる」


 それを聞いたザギュブルは、ニヤリと笑みを浮かべる。

 その後、その場から煙のように姿を消した。

 それを確認した達基は頭を抱える。


(デスゲーム最中……今度は、闘技場に集めてデスマッチを開催するだと! 馬鹿げてる……クソッ、俺がアイツよりも能力が優れていれば……とめられたかもしれねぇ)


 そう達基は、自問自答していた。

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