思い悩むと恋の作戦会議

 ……――翌朝。


 ここは幸の部屋である。幸は朝から柔軟体操をしていた。


 幸は昨晩ミクセアたち六人と、この宿の食堂で食事をする。その後、話をしたあと各自の部屋に向かった。


 そして現在、幸は体を動かしながら考えごとをしている。


(なんとなく嫌な予感がしたから、夕べは鍵をしておいた。あとで鍵を解除しておかないとな)


 そう考えるとベッドの方へ向かった。

 そしてベッドの上に座ると、ハァーっと息を漏らす。


(今日は、この町を探索しながら情報を集める。でも……本当に俺の知っているヤツが、デスゲームの首謀者なのか? 偶々……同じチーム名なんじゃ)


 そう思うも幸の表情は、かなりつらそうである。


(もしそうなら……考えたくないが、最悪…………やり合うことになる。

 いや、そうならないことを願うだけだな。……違う……そうじゃなかったとしても、殺し合いに)


 そう考え幸は、頭を抱えた。


(喧嘩ですまないかもしれない。いや、かもじゃないだろう……能力者が相手だ。

 いくら俺一人じゃないにしても。俺は無能力、恐らくみんなの足を引っ張る可能性が高い)


 そう自問自答する。


「考えていても頭が痛くなるだけだ……やめておこう」


 そう言い幸は、ゴロンっとベッドに横になった。

 そしてまだ食事には早いので、少し休むことにする。


 ◆◇◆◇◆◇


 ここはミルモフの宿の二階にあるロビーだ。

 ここにはミクセアと星奈とコリュカとミフェナが居て、椅子に座りテーブルを囲んで話をしている。


「とりあえずは、休戦しましょう」


 そうミクセアが言うと三人は頷いた。


「それはそうとさぁ……思いっきり幸に、ボク達の行動が読まれてるよな」

「セナ、そうね。夕べ、コウの部屋に入ろうとしたら鍵がかかってましたわ」

「うんうん、私も行ったけど……鍵がかかってた」

「私も……鍵が……かかってて……ガッカリ……でした……ですぅ」


 そう言い四人は、お互いを見合った。


「みんな考えることは同じだな。ボクも行ったけど、悔しい思いして部屋に戻ってきた」


 星奈はそう言いテーブルの一点をみつめる。


「どうしたら、コウをその気にさせることができるのでしょうか?」

「ミクセア、難しいかもな。あれだけボク達が引っ付いていても、その気になる様子ってなかったし」

「そうなの……かなぁ……男……にもよって……色々な……タイプが……いるから……好みって……あると……思うの」


 そうコリュカが言うと三人は、なるほどと納得した。


「……そういえば、コウは可愛い物が好きだったよな」

「ミフェナ……そうかっ! 可愛い格好をすれば、もしかしたら……」


 星奈がそう言うとコリュカは首を横に振る。


「多分……格好……だけじゃ……駄目だと……思い……ますぅ」

「では、全ての行動を可愛くした方がいいという事ですわね」

「ミクセア……そういう事……ですねぇ」


 そう言われ三人は、どうしようかと思い悩んだ。

 そう可愛い行動をすることに抵抗があったからである。

 そしてその後も四人は、そのことを話し合っていたのであった。

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