第二章

商業と娯楽の町バルベア

 ここはバルルゼア草原。位置的には、バルデアの森を北西に抜けたバルベバの町との間にある草原だ。


 あれから幸たちは、魔物や魔獣と戦いながら森を抜けてここまでくる。


 そして現在、幸たちは空を眺めていた。

 ミクセアと星奈とコリュカとミフェナは、幸の服をつまんでいる。

 そう幸に動きづらいと何度も言われて、それならと服を掴むことにしたのだ。

 それでも幸は動きづらそうである。だが、前よりはいいかと我慢していた。


「思ったよりも時間がかかったな」

「コウ、そうね……少し暗くなって来てるわ」


 そうミクセアが言うと六人は頷く。


「それにしても、いつみても奇怪だ。太陽がみえないなんて」

「波留、本にも書いてあっただろ。この世界の女神は、自分よりも目立つものが嫌いなんだってさ」

「そうは云っても、星奈。いくらなんでも、太陽をみえなくするのはどうなんだ?」


 そう幸は言い、ジト目で空を見上げる。


「んー……僕は、慣れてるから何も感じない」

「ライゼルの言う通り、私もそう思ったことないかな」

「私も……ライゼルと……ミフェナと……同じで……すぅ」


 それを聞きミクセアは、自分もそうだと頷いた。


「慣れか……確かにこの世界では、これが当たり前なのかもな」

「うん、幸……そうだな」


 そう言い星奈は、ニコリと笑みを浮かべる。


「それはそうと……持って来た地図を見る限り、バルベアの町まで……もうすぐだ」


 幸がそう言うと六人は頷いた。

 その後、七人はバルベアの町へと向かう。


 ◆◇◆◇◆◇


 しばらく歩き幸たちは、バルベアの町へ辿り着いた。

 幸たちは町の入口で話をしている。


「流石に人が多いな」


 そう言い幸は、キョロキョロと周囲を見回した。


「前にも来たけど、ここには色んな施設がある」

「星奈、どんな施設があるんだ?」

「んー……幸が知らないのは分かる。波留は、この町に来たことがないのか?」


 そう言われ波留とライゼルは頷いた。


「俺とライゼルは、別のルートでザルべドルの町に来たからな。ここには、立ち寄ってない」

「そういう事か。じゃあ、知らなくても仕方ないな。……そのことも踏まえて、宿屋で話そう」

「そうだな……星奈の言う通りだ。じゃあ、案内してくれないか」


 幸にそう言われ星奈は、ニパッと笑みを浮かべる。そして、幸の手を取り歩き出した。

 それをみたミクセアとコリュカとミフェナと波留とライゼルは、ムッとしながら幸たちのあとを追いかける。


 ◆◇◆◇◆◇


 ここは宿屋が並ぶ街路。

 幸たちは、どこの宿屋に泊まろうかと外観をみて歩いていた。


「んー……こんなに宿屋があるのか。これじゃ、どこに泊まっていいか悩む」

「コウ、そうですわね。ただお金のことを考えると、なるべく安い所にしましょ」

「ああ、ミクセアの言う通りだ。どのくらいの期間、この町に滞在するかも分からないからな」


 そう幸が言うと六人は頷く。

 そしてその後、幸たち七人は手頃の宿屋を探し歩いたのだった。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る