断ると諦めきれないと柔軟体操と

 ミクセアは幸が悩んでいるのをみて心配になった。


「コウ、無理に仲間にならなくてもいいのでは?」

「そうだな……やっぱり、お前たちと組めない」


 それを聞き波留は、幸を凝視する。


「なんでだ……まだ俺たちが信用できないってことか?」

「波留、今は誰とも組みたくない。但しミクセア以外とはな」


 そう言われミクセアは、ポッと顔が赤くなった。


「そうか……分かった。だが、諦めない……もし気が変わったら声をかけてくれ。俺は……しばらく、この町の宿屋に居る」

「ああ……そうする。だが、余り期待しないでほしい」


 幸はそう言いミクセアとこの場を離れる。

 それを確認すると波留は、ライゼルの方をみた。


「このまま諦めたくない」

「ハル、そう言っても……あの様子じゃ無理だよ」

「そうだな……でも、今までみて来て他に正気なヤツがいなかった」


 そう言い波留は、幸が通った道へ視線を向ける。


「うん、確かにそうだね」

「ああ、だから俺は粘る」


 それを聞きライゼルは頷いた。

 その後二人は、この場をあとにし宿屋に向かう。


 ◆◇◆◇◆◇


 ここは町長の屋敷。

 幸はミクセアと中庭にいる。


 あれから幸は、屋敷に戻ってくると自分の部屋にバトルアックス以外の荷物を置いてきた。その後、この中庭にくる。

 ミクセアは先にこの中庭に来て幸を待っていた。


 そして現在、幸はバトルアックスを地面に置いて柔軟体操をしている。

 その様子をミクセアは、興味深くみていた。


「コウ、それは何をしているのです?」

「ああ、柔軟体操って云って……体をほぐしてるんだ」

「なぜそのようなことをする必要があるのですか?」


 そう言いミクセアは首を傾げる。


「体をほぐさずに、いきなり動くと……筋肉が硬いままで動きが鈍くなるんだ」

「まあ、そうなのですね。私もやってみようかしら」

「んー……その格好でやるのか?」


 そう言い幸はミクセアをみた。


「変でしょうか?」

「いや、そういう事じゃない。動きやすい恰好の方がいいかと思った」

「そうですね……じゃあ、着替えてきますわ」


 ミクセアはそう言うと建物に入り自分の部屋へ向かう。

 それをみて幸は笑みを浮かべる。


(ミクセアは、可愛い。最初は綺麗な人だなぁっと思ったけど。んー……行動が可愛いのか? まぁ……俺には、関係ないけどな。今は女のことを考えている場合じゃない)


 そう思うと幸は、再び柔軟体操を始めた。


(それにしても、どうなってるんだ? それに波留が言ってた使命ってなんだろう。それだけじゃない……なんでこんなに、召喚された転移者がいるのか)


 気が散って柔軟体操が思うように行えず、幸は地面に座り込んだ。


「んー……ミクセアがくるまで、休んでるか」


 そう言い幸は、地面に仰向けで寝転がる。そしてミクセアがくるまでの間、色々と考えていたのだった。

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