行く末
ここは町長の屋敷にある中庭。ここには幸とミクセアがいる。
あれからミクセアは自室に行き着替えるとここに戻ってきた。
ミクセアの格好は、狩場に行くときに着るパンツスタイルである。
そして現在、幸とミクセアは柔軟体操をしていた。
その後、柔軟体操が終え幸はバトルアックスを構える。
ミクセアはその様子を離れた場所からみていた。
(使い方か……ちょっとしたことはゼルブさんに聞いた。あとは、詳しい人に聞けって言ってたな。んー……今現在、知っている中にはいない。そうなると……あとで探さないと)
そう思いながらバトルアックスを振り上げると、即座に振り下ろす。
すると風が舞い上がり地面をえぐる。
「あーえっと……地面えぐっちゃったけど大丈夫か?」
「クスクス……どうかしら? でも、大丈夫だと思いますけど……凄いですわ。一振りしただけで、こんなに地面がえぐれるなんて」
そう言われ幸は首を振った。
「いや、このバトルアックスの重さのお陰だ」
「そうだとしても、普通の人なら持つことさえ困難だと思いますよ」
「んー……そうなのか。だけど……振れただけじゃ駄目だ。ちゃんとした使い方をマスターしないと」
幸はそう言い左手をみる。
「コウは、真面目ですよね。だから私は、す……信頼できるのですわ」
「さっきから、褒め過ぎじゃないのか?」
「そうかしら? 私は本当のことを言ってるだけですわ」
それを聞き幸は照れた。
その後も幸はバトルアックスを振りながら、どう使えばいいか模索する。
それをミクセアは、ウットリしながらみていた。
◆◇◆◇◆◇
ここは中庭がみえる通路。そこの窓からブロバルは、中庭をみている。
(うむ……能力を授かっていたら、どうなっておった? 恐らく……その辺の能力者などよりも強くなっていたかもしれん。
天は二物を与えずか……それでよかったのかもしれぬな。もし能力を授かっていたら、自分の持っているものに気づかずにいたかもしれん……能力に頼り過ぎて)
そう思いブロバルは、ニヤリと笑みを浮かべた。
(それにしてもミクセアが、こうも変わるとはな。それほどに……コウ様の存在が大きいという事か。いや、好きになったからだろう。
このまま何もなく、コウ様がここに居てくれればよいのだが……それは無理。やらねばならない使命があるだろうからな。私は、それを見守り……援助ぐらいしかできん)
そう思考を巡らせている。
すると……。
――ゴオォォー……――
と、いう音が聞こえてきた。それと共に、ブロバルの居る通路の壁の一部が吹き飛んだ。
ブロバルは硬直し佇んでいる。そう目の前スレスレで、それが起こったからだ。
我に返ったブロバルは、崩れた壁の穴から中庭をみる。
(……これは、コウ様がやったのか? うむ、化けるかもしれんな)
そう思うとブロバルは、ポッカリ開いた壁の穴から幸をみていた。
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