食事と尾行と追う者と
ここはザルべドルの町の食堂。店内には、チラホラと人が居る程度だ。
あれから幸とミクセアは、店の中に入りテーブル席に向い合せで座る。
その後、幸はこの世界の食べ物を知らないためミクセアが適当に注文した。
そして現在、幸はミクセアと話をしながら食事をしている。
「この料理、凄く美味しいな」
そう言い幸は、炒飯のような食べ物を口に運ぶ。
「それは良かったわ。私は、このマイハン好きなの」
「なるほど、これってマイハンって云うんだな。ここでしか食べられないのか?」
「どうかしら? 他の町に行ったことがないから分からないわ」
ミクセアはそう言いマイハンを口に運び食べた。
その後、二人は食べ終わりお金を払って店を出る。
◆◇◆◇◆◇
幸とミクセアは食堂を出たあと噴水広場まできた。
すると幸は誰かの視線を感じる。
「ミクセア、気のせいかもしれないけど……視線を感じる」
「そうですね……私も、先程から誰かにつけられていた気がしていました」
「そうか……でも、誰だ?」
そう言い幸は首を傾げた。
「もしかしたら、先程の二人組じゃないかしら?」
「ああ、それはあり得るな。だが……なんで、あとをつけてくるんだ?」
「確かにおかしいですね。何か私たちに用でもあるのかしら」
それを聞き幸は考える。
「用があるとすれば……俺にだろうな。んー、さっき俺……なんかしたか?」
「そうねぇ……したとすれば、言い負かしたってことぐらいかな?」
「はて? 言い負かした……どういう事だ。ボロが出るのが嫌だから、あの場を早急に離れたくて睨みつけはしたけど……」
それを聞きミクセアは微笑んだ。
「クスクス……それが怖かったのだと思いますわ」
「そうなのか? んー、それならなんであとを追ってきたんだ」
「確かに……おかしいですね。何を考えているのでしょう。それに、さっきの黒髪の人って……」
そう言われ幸は頷いた。
「自分でも言ってたが、俺と同じ世界のヤツだ。そうなると能力者だろうな」
「それじゃ、もしかしたら……森の怪物の件と関係しているの?」
「分からない……でも、その可能性もある」
幸はそう言うと悩み始める。
「だけど、もしそうなら……こんな所をウロウロしているか?」
「言われてみればそうね。ですが、なんでこの町に居るのかしら?」
「んー、気になるな。探ってみるのも手かもしれない。だが、リスクもある……俺は能力がないし」
そう言い幸は俯いた。
「無理はすることないと思います。それにここは、慎重にいきましょう」
「ああ、そうだな。それに、アッチから仕掛けてくるだろうし」
そう言い幸は気づかないフリをすることにする。
そして二人は、噴水広場から別の場所へ向かった。
◆◇◆◇◆◇
一方、幸たちを追ってきた二人の男は噴水広場にいる。
「ハル、本当に仲間になってくれると思うか?」
「どうだろうな……ライゼル。だけど、話をしたい。やっとみつけた同じ世界の者だからな」
そう言い黒髪の男は、再び歩き出し幸たちを追った。そのあとを緑髪の男が追いかける。
この黒髪の男は
なんでこんな所に居るのかと能力は、あとで明かすとしよう。
因みに緑髪の男はライゼル・バルゲン、二十二歳だ。出身はこの町ではないが、ハルと旅を共にしている。
「でも……やっと三年か。この森の噂と、さっきの男が関係しているのかは分からない。でも……見た限りだと、それはないだろうな」
「でも、断言できない。もしそうなら……危険なんじゃ?」
「そうだな……でも、その時は能力を使って逃げるしかない」
そう言い波留は幸を見据えた。
「そうだね……今までも、そうして来たし」
ライゼルはそう言うと波留をみる。
そして二人は、幸たちに話しかける機会を伺いながらあとをつけていたのだった。
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