命の重みと自分に合った武器

 ここはザルべドルの町の武器屋。ここには幸とミクセアがいる。


 あれから幸はブロバルと話をしていると、ミクセアが書斎に入ってきた。

 その後、話を聞いたミクセアは喜んで行くと応える。


 そして現在、幸とミクセアは武器を探していた。


「んー、なんか思ってたよりもいいのがないな」


 そう言いながら幸は、長剣を構えてみる。


「これも違う……。剣じゃない方がいいのか?」


 幸はそう言うと店内を、グルリと見回した。


「コウ、重い武器がいいのよね?」

「ああ、できるだけ重いのがいい」


 それを聞きミクセアは、バトルアックスとハンマーの方を指差す。


「なるほど……あれなら、確かに重いな」


 そう言うと幸は、バトルアックスが置かれている場所へと向かった。


 幸は大小様々なバトルアックスを手に取って重さを確認する。


「刃が鋭いな……この重さで、か。剣もそうだが……俺には、想像しただけでキツい。んー、ハンマーの方がいいか?」

「えーっと……コウ。まさか、刃があると怪我させるなんて思ってないわよね?」

「ああ、思っている。魔物とかならいいかもしれない……だけど、人間同士で殺し合うのはな」


 それを聞いたミクセアは、ムッとした。そして幸の頬を、パシッと思いっきり叩く。

 だが、叩いたミクセアの手が腫れあがる。痛さの余り涙が出た。

 叩かれた幸の頬は、軽く腫れた程度だ。


「ミクセア、大丈夫か?」

「うう……痛いです。ですが、なぜ叩いたか分かりますか?」

「んー、なんでだろ……」


 そう言い幸は、頬を摩りながらミクセアがなんで叩いたのか考える。


「分からないの? コウの世界では、そうだったのかもしれない。でもここでは、人であっても殺し合うのよ」

「なるほど……でも、だからって殺してもいい訳ないだろ」

「じゃあ魔物は、なぜ殺せるのです?」


 それを聞き幸は、ミクセアが何を言いたいのか分からず悩んだ。


「……悪さをするからだろ?」

「そうね……人間も同じだと思いませんか? それに魔物だって、私たちのように生きてるのですよ」

「そうか……魔物の中にも悪さをする者としない者がいる」


 そう幸が言うとミクセアは頷いた。


「そうね。それに、自分の命を守るためには……時には非情にならなければならない。と、私は思うのです」

「そうだな……ここは、俺の居た世界じゃない。それに……俺は、能力者と戦う。そうなると、能力がない分……他で補わないと」

「私も人を斬るのは嫌です。だからコウの気持ちは、凄く分かるの。だけど……コウ、死なないでほしい」


 そう言いミクセアは、心配に思い幸をみる。


「ミクセア、そうだな……ありがとう。分かった! 俺は、強くならなきゃいけない。それなら、強い武器を選ぶ」


 そう言い幸は、色々なバトルアックスを手に取ってみた。と、一本のバトルアックスを持った瞬間……幸の体を電気が走る。


(なんだ……このバトルアックスは? 大きい割には、凄く手に馴染む……それだけじゃない。ズッシリくるこの重み……完全に俺の好みだ)


 そう思い幸は、バトルアックスを構えてみた。


「やっぱりだ! この武器がいい」


 そのバトルアックスとは、普通の人なら振り回すのが困難なくらいに大きくて重い。


「あーえっと……コウ、重くないの?」

「ん? 重い、だけど……丁度いいぞ」

「そうなのね……それならいいのですけど」


 そう言うもミクセアは、本当に大丈夫なのかと思う。

 そうこう話していると店主が話しかけてくる。


「これはミクセア様、珍しいですな」

「あ、ゼルブさん……お久しぶりです」

「それで……今日はその方の武器を、お探しですかな」


 そう言われミクセアは頷いた。

 その後、幸は自己紹介をする。


「んーもしや、そのバトルアックスを所望ですか?」

「あ、はい。持った感じが、凄く使いやすそうなので」

「なるほど。それは、重くって誰も扱えなかった武器だが……本当に大丈夫ですかな」


 そう問われ幸は悩んだ。


「……そうなのか。それなら……どこか、試せるところはないですか?」

「ありますが。そうですね……ミクセア様の知り合いに使えない武器を売れませんので、裏庭で試してみてください」


 そう言いゼルブは、幸とミクセアのことを裏庭へと案内した。

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