装備完了

 ここはブロバルの屋敷。その建物にある一室だ。ここには幸と使用人の男性がいる。

 そう幸は武器と軽装備に着替えるためにここに来ていた。


「コウ様、お着替えお手伝いさせて頂きます」


 そう言い使用人の男性は幸の服を脱がそうとする。


「あーだ、大丈夫……自分でできますから」

「しかし……旦那様にコウ様の着替えの手伝いをと云われておりますので」

「そうなんですね。だけど、自分でできることはやります。そーだな……じゃあ、できないことがあったら手伝ってもらえますか?」


 そう幸が言うと使用人の男性は頷いた。

 その後、幸は服を脱ぎ用意された軽装備に着替える。

 その時、使用人の男性に聞きながら装備した。


「ありがとうございます……色々助かりました」


 幸は頭を下げる。


「いえ、頭を上げてください。当たり前のことをしただけですので」

「それでも、教えてもらわなければ装備できなかった」

「……コウ様は変わった方ですね。いえ、異世界の方々は皆そうなのでしょうか?」


 そう問われ幸は首を横に振った。


「どうだろう……人にもよると思います」

「そうなのですね。そうなると……どの世界も同じという事ですか」

「ああ、多分……」


 その後、幸は全て着替え終わる。

 そして二人は再び客室へと向かった。


 ◆◇◆◇◆◇


 ここは客室。

 幸は使用人の男とここにくる。

 そしてブロバルとミクセアはソファーの同じ場所に座っていた。

 幸は同じ場所に座る。


「ほう、思っていたよりも様になっておりますな」

「ブロバルさん、ありがとうございます」

「本当……素敵ですわ……」


 そう言いミクセアは顔を赤く染めた。


「あーはあ……」


 ミクセアに素敵だと言われ恥ずかしくなり幸の顔が真っ赤になる。

 そう一度も女子にカッコいいや素敵とか言われたことがなかったからだ。


 ――因みに幸の容姿はこの世界の基準ならイケメンの部類に入る。

 それと幸は別にモテなかったわけじゃない。ただ自分が気づかなかっただけだ。という事は、ただの鈍感なだけである――


「早速ですが、森の進める所まで行って調べたいんですけど」

「んー今すぐか?」

「はい、ですがそんな奥まで行くつもりはありません。それに、まだ自分がどこまでやれるか分からないので」


 それを聞きブロバルは考えたあと口を開いた。


「分かりました。ですが、仲間を募って向かわれてはどうかな」

「仲間……ですか。その方がいいかもですね……だけど自分でどこまでやれるかも知りたいので、今はやめておきます」

「そうか……そうだな。では、必要な時は言ってくれ……ギルドの方に紹介したいのでな」


 そう言われ幸は頷く。


「では、向かいますので」


 幸はそう言い立ち上がる。


「あ、そうでした。回復のアイテムとかは、持っていませんよね?」

「ミ、ミクセア。う、うん……持ってないです」


 その様子をみてブロバルは何かを察知した。


「ゴホンッ、そういえばミクセア。お前は、回復魔法が使えたな」

「お父様、はい……使えますが?」

「それなら、コウ様の手伝いをしてこい」


 それを聞きミクセアは喜んだ。

 だが幸は……。


「申し訳ありません。ここまでしてもらったのに……ミクセアにまで迷惑をかける訳にはいかない」

「いいえ、迷惑だなんて……私はコウ様のお手伝いができるのが嬉しいのです」

「という事だ。一人よりはいいと思うのだが」


 そう言われ幸は悩み考える。


(どうする? 確かに回復してもらえれば助かるが……)

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