2-1 ハイカラな食べ物

GM:あ、言い忘れてたけど第壱章から3日たってるって設定だから3日分の生活費を徴収すっぞ、それに伴ったロールプレイをしてくれ。

キタ:出たな妖怪「デンタツワスレ」。風呂入った後の鼻血並みに出てくるやつ。

GM:すまんな。今回のクエストクリアしたら何十倍にもなって帰ってくるんだから頑張ってくれ。


エドでの生活 

ニシ&ヒガシ 仲良し兄弟

浅草寺センソウジにて〜

彼らがいるのはのアサクサの売店。楽しいものや美味しいもの、キラキラしたものに溢れたそこは、今まで生まれた村が世界の中心だった彼らにとっては夢のような空間だった。この3日間英気を養うという名目のもとご飯を食べ歩いている。いわゆる高級料亭で食べるわけではなくあくまで庶民の屋台やお店が中心であったが、2人にとっては兄弟揃ってエドにいることが何よりも嬉しかった。


ニシ:「天麩羅てんぷら、ウナギの蒲焼き、にぎり寿司……色々食べてきたな!」

ヒガシ:「今日は蕎麦にしようよ。ここのお蕎麦美味しいってさ!」

ニシ:「ほーん……あ、ここ天麩羅をとっぴんぐ? 出来るんだってさ。海老天と芋天を10個ずつと……」

ヒガシ:「兄さん食べるねぇ。でも村だと僕の方が食が細いって心配されてなぁ、リルドラケンが食べ過ぎなのに」

ニシ「まあ図体でかいからな。それにお前は人型の中でも少食な方だろ。保母さんに病気なんじゃないのかって心配されて大変だったよな!」


故郷の話、美味しい食べ物について、談笑は途切れることを知らない。次に来る戦いも他所に、今は間違いなくふたりの時間だった。


ニシとヒガシの生活費

外食中心のそこそこな暮らし(1日30G)

30×3(日)=90

ニシ→-90G

ヒガシ→-90G



キタ&ミナミ 自分のためと誰かのため

〜酒屋花丸にて〜


キタ:「いらっしゃい! 今日のオススメは今朝早くに仕入れてきた鰻を使ったうな重だよ! 新しい調理師ことミナミが汁だくで出してくれるぜ!」

ミナミ:「どうも……」

GM(店主):「いやーキタくんとミナミくんがお仕事手伝ってくれて嬉しいよ」

キタ:「そんな事ないぜ、オイラたちに住む部屋を貸してくれた恩があるからな!」

GM(店主):「それを引いてもあまりある働きっぷりだよ。むしろこちらから給料を出さなくちゃね、ははは!」


昼間は酒屋ではなく大衆食堂として機能している花丸。キタは接客、ミナミは調理師として店主トドロキを手伝っていた。キタは持ち前の愛嬌と手際の良さであっという間に仕事を覚えていくが、ミナミはまだ生まれ手間もないその身の上ではなかなか上手くいかずに苦戦しているようだ。


ミナミ:「……わからない。一体何を持ってして時間も数えずにひっくり返すタイミングを完璧に掴んでいるのか」

GM(店主):「うーん。こればっかりは流石に勘かなぁ慣れってのもあると思うけど。大丈夫! いっぱい練習したらできるようになるからさ」

ミナミ:「……恐縮です」


特に手間取っているのはうなぎを焼く工程。トドロキさん曰く経験則という曖昧な基準での調理に悪戦苦闘していた。それでもたくさんの人と交流できる食堂での経験は、ミナミの知見を大きく広げることになっただろう。


キタとミナミの生活費

自炊中心の質素な暮らし(1日10G)

10×3(日)=30

キタ→-30G

ミナミ→-30G


ライト&レフト 異国人の共有者

秋葉原アキハバラにて〜


下級武士の家や材木商を初めとしたがお店が立ち並ぶ下町秋葉原。前代未聞の蛮族による大被害にあっている真っ只中にあるヒノマルでは、開国した今でも武士の需要は溢れかえっている(寧ろ足りな過ぎて冒険者という職が生まれるほどには)。よって下級武士の町と言われなければ分からないほどに大きな建物が立ち並ぶ賑やかな街となっている。


レフト:「ふむふむ。ヒノマルにて独自に栄えた妖精魔法に関する学術書を入手しましたが……同業者として大変興味深い内容ですね。できる事なら、いつかは本職の方にもっと詳しいお話を聞いてみたいものです」

ライト:「そうかそうかよかったな。所でオレの方に助け舟を出してみないか?」

GM(子供):「ねえねえ外国人のお兄さん、俺たちにも稽古つけてくれよ!」

ライト:「……自主練が終わったらな」


レフトは本屋にて様々な書物を物色している。ライトは子供に囲まれながらそんなレフトに助けを求めるという異様な光景が広がっていた。ライトは礼儀正しい好青年であったが、同時にヒノマルの作法をまだ完璧にマスターしていない。間の悪いことにヒノマルの住人は礼節を重んじる事を前段階で知ってしまった。不躾な姿を晒してはいけない。心得を掴むまで現地の人間との会話は控えようと考えるのは仕方のない話だ。その矢先にこれだけれど。


レフト:「どうせなら彼らに武術を教えてはいかがでしょうか? それと同時に貴方も会話の作法をつかんだら完璧ですよ 」

ライト:「簡単に言ってくれるな__む、まて少年。そんな拳の振り方をしては関節を痛めてしまうぞ。こらそこの少女、投げる時は無理に力を入れるのではなく流れを大切にしないと……」

レフト:「……頑張ってくださいね、ライト」


ライトとレフトの生活費

自炊中心の質素な暮らし(1日10G)

10×3(日)=30

ライト→-30G

レフト→-30G



GM:エドで各々思い思いに過ごす中、遂に試験の日がやってきた。店主からの景気付けとして朝ごはんをたっぷり食べた6人。ひと通り片付けを済ました後、説明に入る。

「町内会の人から丁度いい依頼を持ってきたよ。君たちにしてほしいことはスバリ、ジャイアントリザードの肉と調味料を集めるために僕を護衛する事さ!」

ニシ:「ジャイアントリザードの……」

ヒガシ:「お肉?」

GM(店主):「そう、最近になって一般的に広がりはじめたお肉なんだけどね。手足は骨付き肉に、背中と肩はステーキに、お腹や腸は海外からやってきた新技術でヴルストに、そして尻尾はコリコリ! 頭は出汁をとることが出来るし血はソースに使える、全身食べることが出来るエドの新しい名物!」

ニシ:「ス、ステーキ!」目をキラキラさせている。

ヒガシ:「ヴルスト……ハイカラな食べ物ですね」未知の料理名に興奮してる。

キタ:「いいじゃん手頃で。それぐらいの雑魚ならオイラのクロスボウで撃ち抜いてやるよ!」

ミナミ:「異論はございません」

ライト:「肉か、楽しみだな」

レフト:「……時に、護衛と、調味料を集めるとは具体的に?」ゲテモノ料理だなぁと思ってる。

GM(店主):「詳しい説明は町長さんが紙に書いてくれてね。出来ることなら急いでほしいとの事だから、今すぐ行く依頼としてはピッタリだ」


ニシ:あ、口頭での解説放棄した。

GM:形に残るほうが覚える手間なくてええやろ、ほら受け取れそして読め。


依頼内容

近々ジャンアントリザードの大食い大会を予定している。そこでジャイアントリザードを多めに討伐、解体してほしい。更に出来ることなら大食い大会で使う激辛調味料、《火龍の涙》をとってきて欲しい。ジャイアントリザードも火龍の涙も同じ隅田川スミダガワの上流に位置する『隅田川の回廊』に生息している。

一本道とはいえ最近はウルフも群生し始め密猟者の罠もそこかしこにあるので気を付けて当たって欲しい。


成功条件 ジャンアントリザードの肉を8体分と入手する

報酬 人数×800G 追加報酬あり

追加報酬内容 火龍の涙を入手する

追加報酬 人数×200G


GM(店主):「ジャイアントリザードは討伐してくれさえすれば僕が解体するから心配しないで。探索と戦いと護衛、全ての能力を見させてもらうために僕は戦わないからみんなだけで頑張ってね」

店主はジャイアントリザードの肉を入れるための荷台をすでに手配していたようで、外へと向かう扉の向こう側から「トドロキさーん荷台の準備できましたよー」と男の声が聞こえた。


キタ:……所でジャイアントリザードの肉って本当に食えるの?

GM:もし日本にあんなデカいトカゲが住んどったら普通に食用として扱われるやろ。奴等先祖はフグもこんにゃく芋も食う連中だぞ。

ライト:それはそう。


6人は頑張るぞと息巻きながら、大きな荷台を引いてエドを出る。目指すは隅田川の回廊へ……

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