62.「悪趣味ね」
お兄ちゃんの戦意喪失により無力化されていた
これでもかと叩き付けられた危機と困難を乗り越えた私は、気絶する形で眠った。
心労が限界を超えたらしい。あの日の記憶はお兄ちゃんと和解した直後でブッツリ途切れて、次に目を覚ましたのは翌日の夕方だった。それでもくたくただったから、さっさと食事とシャワーを済ませて寝た。
次に目を覚ましたのはそのまた翌日の昼で、日常に戻ろうとのそのそ動き出した私の様子に、周りが胸を撫で下ろしているのに気付いた。まだ身体にはどんよりとした疲労が溜まっていて、頭もそんなに回らないけれど。寝過ぎたんだと思う。
だからここから先は、
避難していた住民は、正気に戻った
私はそれを聞いた時、身体の怠さが消えた。私を最後まで苦しめていたのは、もしもお兄ちゃんが何か罰を与えられたらどうしようという、気苦労だったらしい。
それを避ける為もあって、一騎打ちの際お兄ちゃんを挑発した。言い損ねる事が無いように、やり残しが無いようにと全力を出させるのが主な目的だったけれど、それを砕いてしまえば、全ての手札を潰せる事にもなる。綺麗に負かしてしまえば、もうそれ以上すべき事は無い。そう安心する私を
肩を竦めて返しておいた。ただでさえ得意分野での戦いなのに、冷静さを奪う事により人影での不意打ちをさせず直進を誘ったなんて言ったら、とうとう嫌われるかもしれなくて。後手に回っておきながら無傷で斬り返している時点で、どう繕おうと手遅れだが。殺人剣に精通しているという事は、殺さない斬り方も熟知している事になる。
それ以上この話題を広げるのは私が不利になるばかりなので、元気にもなった事だし外に出た。
まずは
去年から散々鬱陶しかったし今年の〝
「あの時お前が助けてくれなかったら、私はお兄ちゃんへの罪悪感で挫けてたよ。ありがとう」
それは迷惑そうに、「
途端玄関のドアを思い切り閉められた。菓子折りの入った手提げの紙袋は、ドアノブに引っかけておいた。
それを聞いた
この話を教えてくれたのも
神を一時的に従えるという
続けて、
お互いに積もる話があるから、来週お茶に行く事になったらしい。私は抜きで。何でだ。まあこの二人が一対一でしたい話って、私を前にしたら遠慮したくなる内容ばかりか。
という訳で一週間後の今日。極めて珍しく一人になった私は、あいつに会いに行く事にした。丁度私も、一対一で話したい相手だったから。
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