04.千載一遇のチャンスを鷲掴みにしようと私を脅迫している!
お前候補とは言え許嫁の前で何言ってんだいやここで私が振れば格下の家に侮辱されたとこいつに傷が付いて
フル回転させた脳味噌により刹那で弾き出した責任転嫁と言えなくも無い答えの下、助けを求める視線を
何を言うべきか分かるよな、小学校上がる前から一緒にいる、立場以前に親友と呼び合って過言無い私達の絆なら!
「マジかよやったあ。じゃあ
人生を切り開く為に親友を売りやがった!
そりゃあそうだよなあ、あんな支配的な親の干渉受け続けてたら、意地でも反逆する精神が育って当然だよなあ! 私だってなるべく一般的な暮らしを送って欲しいって願ってたよ! でも即答してんじゃねーよ!
「悪いな
うるせえアホ!
「大丈夫大丈夫。正式にうちに挨拶に来る直前に違う子に一目惚れしたって事だから全部許嫁候補となる前の出来事だし私も振られた扱いになってないから、誰の体面も傷付いてないし。よかった。たまたま仕事終わりに
アアアこいつら境遇が似てるから意気投合してやがる!
「いや
主にカスみてーなゴシップ系の!
途端気さくな調子が失せた
「主人に逆らうの?」
このタイミングで立場を利用するのは卑怯だろ! 普段そんな態度取らないくせに!
然し沈黙は降伏と同義だと、滝のような冷や汗が噴き出す中言葉を探す。
「い、いえ、そういう訳では……」
何にも出て来ないんだけれどォ!
「昔から言ってくれてたじゃない。
「言ってた、けれど……」
さらっと本当に小さい頃の言葉を全文引用するな良心が痛む。
「何? 指パッチンで足折られたい? 拍手で
怖い! 千載一遇のチャンスを鷲掴みにしようと私を脅迫している!
いやでも逆らえない! 立場もあるがもし私が拒否すれば、
襲いかかる混乱とストレスに言葉が出ない私に、アホはにかっと笑いかける。
「動揺しても無理は
爽やかで能天気過ぎるその笑顔に疲れ果てて、勝手に本音が出た。
「……手を離せよカス……」
夜明け前の新年度。高校二年生になった私は、略奪愛に見えなくもない求婚をぶつけられ、長年仕えて来た主人には即行で売り飛ばされと、神の怒りより恐ろしい春を迎えた。
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