第27話 テスト前の期間

 連休が明けると中間テスト前の部活禁止期間に突入した。というわけで前田さんは小島を食堂で待つ必要は無くなる。俺の食堂でのボディガードもお休みだ。


 放課後、小島は前田さんのところにいる。俺は帰り道のボディガードが必要なのか尋ねてみようと近づいた。


 すると、小島が何か前田さんに頼んでいる。


「紗栄子、今日お願いできないかな、勉強会」


「うん、いいよ」


「ほんと? よかった~。今回、マジでピンチで……」


 どうやら小島は前田さんと勉強会をするようだ。

 そんな話を聞きつけたのか、委員長・山田愛理が近づいてきた。


「これから2人で勉強会するの?」


「うん、そうだけど」


 小島が答える。


「私も一緒にお願いできないかな?」


 委員長がこの2人と一緒に行動するのはこれまで見たことは無いが、小島が風邪の時に前田さんのガードを頼んだ件から言っても小島と委員長は仲が良さそうだ。


「私は借りがあるし、いいよ。紗栄子、どうかな?」


「私はもちろん大丈夫だよ。この間はお世話になったし」


「ありがとう。ちょっと話したいこともあるし」


「そうなんだ。じゃあ、行こうか」


 3人で帰りだした。俺は不要そうだが一応聞いてみるか。


「小島、今週は俺はいらない感じか?」


「あー、うん。そうだね。また何かあったら連絡する!」


「そうか、じゃあまたな」


 何か寂しいが仕方ない。


「中里君! またね」


 前田さんが声を掛けてくれた。


「おう!」


 俺は手を挙げて答える。3人を見送った後、俺は自分の席に戻り、帰り支度を始めた。


「フラれたみたいだな」


 隣の席のハカセが冷やかす。


「うるせー。俺は打倒・前田紗栄子だから一緒にいるのもおかしいだろ」


「そうか。まあ、頑張れ」


 ハカセは先に帰っていった。はぁ。俺も帰るか。


◇◇◇


 家に帰ると、既に茜も帰宅していた。


「あれ? お兄、今日は早いね」


「ああ。テスト前の期間だからな」


「テスト前? じゃあ、なんで紗栄子さんと食堂で勉強しないの?」


 ……こいつ、なんでそんなことまで知ってるんだ。小島が全部話してるな。


「部活が無いから小島と一緒にすぐ帰れるんだよ」


「あー、なるほど。じゃあ、紗栄子さんと一緒に居る時間無いね」


「うるせーな。俺は打倒・前田紗栄子なんだから一緒に勉強してちゃ意味ないだろ」


「でも、一緒に居たいんでしょ?」


「まあな。って、うるせーよ!」


「ふふ。わかりやす」


「あーもう、俺は勉強で忙しいから声かけるなよ」


「はーい」


 全く、面倒なことになった。

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